2018 Fiscal Year Research-status Report
LAT1を標的分子とした胸腺癌における新たな治療戦略の開発
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17K10810
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
千田 雅之 獨協医科大学, 医学部, 教授 (70333812)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 啓太朗 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (10323106)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 胸腺癌 / 胸腺腫 / アミノ酸トランスポーター |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト切除検体を用いた胸腺悪性腫瘍におけるLAT1発現の臨床的意義につき検討した結果、WHO分類のtype AからB3までの胸腺腫にはLAT1の発現は認めず、胸腺癌にのみLAT1の発現を認めることを明らかにした。このことから、LAT1の発現を知ることは、胸腺腫と胸腺癌を鑑別する病理検査において有用なマーカーになりうることを証明した。また、胸腺癌における発現パターンには膜型、細胞質型の2種類があり、膜型でその予後が悪いことが有意差をもって証明された。このことから、LAT1の発現パターンは予後を知るバイオマーカーになりうることが明らかとなった。これらの研究成果を、IFのある欧文雑誌に本年度にアクセプトされ掲載された。 また、胸腺癌培養細胞を用いた実験により、特定のアミノ酸トランスポーター(LAT1)を介したアミノ酸供給が腫瘍細胞の増殖に重要な役割を果たしていることを明らかにしている。本年度はさらに代謝阻害物質の枠を広げ、FluvastatinなどのHMG CoA reductase阻害薬の検討を行ったが、LAT1の阻害よりもFluvastatinなどのHMG CoA reductase阻害薬を用いるほうが、より胸腺癌細胞の増殖抑制効果があることを、細胞数、死細胞数カウントにより明らかにした。細胞増殖のどのサイクルに影響するかに関しては、腫瘍細胞を70%エタノール固定し、RNase A処理しpropidium iodineを用い、FACSにてcell-cycleを解析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト切除検体を用いた胸腺悪性腫瘍におけるLAT1発現の臨床的意義につき検討した結果は予想以上の進展を見せ、病理診断の有用なマーカーになりうること、発現パターンが予後を知る指標になることを証明でき、学術論文として公表した。 また、胸腺癌培養細胞の実験では、当初の計画とは異なり、アミノ酸代謝の阻害よりも脂質代謝の阻害が、細胞増殖阻害により有効である可能性が示されてきている。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト検体を用いた研究においては、これまでの検討で有用性が示されたので、そのvalidationが必要である。本疾患は希少癌であることから、他施設から多くの検体を集める多施設共同研究を現在企画しており、よりnの多い検討により、本研究のvalidationを行う予定である。 また、胸腺癌培養細胞の実験では、当初の計画とは異なり、アミノ酸代謝の阻害よりも脂質代謝の阻害が、細胞増殖阻害により有効である可能性が示されてきていることから、本年度は、脂質代謝阻害による細胞増殖抑制の検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
培養細胞を用いた実験では予想外の結果が出たことから、次年度は脂質代謝を中心とした研究に持ち越した助成金を使用する予定である。また、ヒト検体では、validation studyにこれまで以上に費用がかかる予定である。
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