2018 Fiscal Year Research-status Report
動脈瘤壁の治癒と穿通枝温存を両立する紡錘状動脈瘤治療用ステントの開発
Project/Area Number |
17K10816
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
遠藤 英徳 東北大学, 大学病院, 講師 (40723458)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 信 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (20400418)
仲井 正昭 近畿大学, 理工学部, 准教授 (20431603)
荒船 龍彦 東京電機大学, 理工学部, 准教授 (50376597)
安西 眸 東北大学, 流体科学研究所, 助教 (50736981)
大谷 清伸 東北大学, 流体科学研究所, 特任准教授 (80536748)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 紡錘状動脈瘤 / 穿通枝 / 脳血管内治療 / ステント / CFD |
Outline of Annual Research Achievements |
紡錘状動脈瘤は動脈硬化や動脈解離を基盤として発生する特殊な動脈瘤である。嚢状動脈瘤と異なり、治療方法が確立しておらず、時として出血や梗塞を起こし、致命傷となる疾患である。本研究の目的は、紡錘状脳動脈瘤に対して、「瘤壁治癒」と「穿通枝温存」という、相反する事象を両立するステントの開発である。本研究期間内に紡錘状動脈瘤内部と穿通枝の流体力学的特徴及び動脈瘤壁の病理解剖学的構造を明らかにし、根治を目的としたストラットパターンと形状を開発し、ブタを用いた非臨床試験で「瘤壁治癒」と「穿通枝温存」の両立に関する概念実証の確立をめざす。本年度は、新規入院した患者に血管撮影を行い、情報収集を行った。2010年以降に出血で発症した紡錘状動脈瘤は67例存在し、6例でステントを併用した親動脈を温存した治療を行い、他の59例では親動脈閉塞を行った。ステント併用群では穿通枝梗塞は認めず、親動脈閉塞群では穿通枝梗塞を合併していた。これらの症例に対して、血管撮影のデータに基づいて、computational fluid dynamicsの解析を行い、紡錘状動脈瘤の壁における血行力学的パラメータとして壁せん断応力の時間平均と最大値、壁せん断応力が最大となる時間、せん断応力との標準偏差と平均値の比、oscillating shear index(OSI)、relative residence time(RRT)を含めたパラメータを算出して検討を行った。統計学的有意なデータは得られていないが、今後データを蓄積し、紡錘状動脈瘤の壁における血行力学的パラメータの標準化を行っていく予定である。また、流体工学的に血流阻害効果の得られる条件、停滞するながれ環境下においても血流停止が生じない分枝細血管の開存が維持される条件を明らかにすべく、研究を継続していく。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年は、新規入院患者に対して検査を行った紡錘状動脈瘤の症例が少なかったことから,前向きの情報収集が進まなかったことが原因であったため、後方視的に症例を収集し、以前の治療症例も含めて解析を行った。しかし、データ欠損があり、統計処理に至らなかったため、データを再度収集・スムージングを行い、再度解析を行う予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
紡錘状動脈瘤のcomputational fluid dynamicsに関して,flat panel detectorを用いた3次元脳血管撮影または3-Tesla magnetic resonance(MR)血管撮影により十分な解像度の3次元DICOMデータを取得し、閾値設定によらない、変曲点を利用した形状抽出法により安定したモデルを構築する.血行力学的パラメータとして壁せん断応力の時間平均と最大値、壁せん断応力が最大となる時間、せん断応力との標準偏差と平均値の比、oscillating shear index(OSI)、relative residence time(RRT)を含めたパラメータを算出する。CFD解析の結果得られた最適な条件でステントを試作する予定である.また、試作したステントを動物モデルに応用し、実際の治療効果について判定を行う予定である。
|
Causes of Carryover |
研究が計画より遅れたため、実験用に購入する物品が持ち越されたためH30年度予算が余る事となった。H31年度にステント試作の生体適合性の検討を試みるため、ステント試作代、実験用動物、薬品類等の購入を計画している。
|