2017 Fiscal Year Research-status Report
主幹動脈閉塞性脳梗塞に対する血管内治療を利用した新しい側副血行賦活化治療の開発
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17K10820
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
三木 一徳 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, その他 (00536823)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 脳動脈新生 / 側副血行 / スフィンゴシン1-リン酸受容体 / 脳血管障害 / 齧歯類モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
脳梗塞治療として再開通療法と同時に、脳血流の低下を防ぎ、いかに梗塞に陥らせないかという治療戦略が非常に重要であり、実現すれば非常に多くの脳梗塞症例に適応しうる。実際に成体脳であっても脳梗塞後に新たな血管が形成される現象が認められ、大きく分類してAngiogenesis(血管新生)及びArteriogenesis(動脈新生)の二つが知られている。特に血管内皮細胞だけでなく平滑筋、基底膜よりなる口径の大きな新たな機能する動脈の発達を意味するArteriogenesis(動脈新生)は、脳の主幹動脈が閉塞した場合に側副血行路として機能し、脳血流の保持が可能となる。実際に、我々も脳表の動脈新生の発達した症例では脳梗塞の梗塞体積が減少し、機能予後が良好であること臨床研究にて確認した。その強い脳保護効果から、動脈新生の発達を促す方法の開発が期待されているものの、未だ開発されていない。 内皮細胞に発現するスフィンゴシン1リン酸受容体1(S1P1)がシアストレスを感知し、その下流のシグナリングを誘導することが報告された。本研究では我々はS1P1選択的作動薬であるSEW2871を中大脳動脈永久閉塞モデル(permanent middle cerebral artery occlusion;pMCAO)のマウスに投与し、脳軟膜動脈への効果を検証した。SEW2871を投与するとpMCAO7日後のマウスの脳軟膜動脈は有意に発達し、脳血流の改善、脳梗塞体積の減少、神経所見の改善が認められた。さらにS1P1選択的作動薬の投与によってEndothelial nitric oxide synthase (eNOS)リン酸化の亢進し、血管新生の促進、脳血液関門(blood-brain barrier; BBB)の強化も認められ、こうした効果も相乗して脳梗塞の予後が改善することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.慢性低灌流モデルにおける動脈新生に関わる再生メカニズムとズリ応力のKey RegulatorとしてのS1P1Rの発現増加のinteractionの解明 マウス慢性低灌流モデルにより発達する脳軟膜動脈における動脈新生の血管標識による定量と、レーザードップラー法及びNanoSPECT/CTによる脳血流定量結果の対比を行うことにより、動脈新生が実際に脳血流を改善させる部位及びその程度を確認する。 動脈新生の際の動脈を構成している細胞(平滑筋細胞、内皮細胞など)の再生能力を免疫染色で検討し、動脈新生促進後の梗塞脳における炎症細胞の検討をCell sorterを用いた手法で解析する。 微小血管を蛍光標識しレーザー顕微鏡により赤血球の動きを観察することでずり応力を計測しS1P1Rの発現との関連を検討する。さらにその下流因子であるERK、Akt、eNOS、Racの発現量も確認し、メカニズムを詳細に検討する。 以上のような検討により、pMCAO後のS1P1の発現推移、In vitro虚血モデルにおけるS1P1発現、S1P1選択的アゴニストSEW2871投与によるpMCAOマウスの予後改善効果、SEW2871投与の脳軟膜動脈を介した側副血行路への影響、SEW2871の血管新生への作用、SEW2871のBBBへの作用などが確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
1. siRNAを用いたS1P1Rの遺伝子的発現制御による脳虚血後動脈新生の検討 血管内皮細胞のS1P1R遺伝子発現を抑制するsiRNAをモデルマウスに投与、慢性低灌流モデルを作成し、脳血流、脳新生動脈、出現細胞、血管新生関連因子とS1P1Rの発現の解析を行う。 (2年目:平成27年度) 2. スフィンゴシン1-リン酸受容体を介した脳動脈新生制御による新規脳梗塞治療の開発 慢性低灌流モデルに対して、S1P1Rの選択的アンタゴニスト(W146など)、S1P1Rの選択的アゴニスト(SEW2871など)、もしくは水溶性S1Pを投与し、動脈新生賦活化効果を検討し、さらに中大脳動脈閉塞後の脳梗塞縮小効果、行動機能改善効果を明らかにする。 これら検討により、実際に臨床応用する場合の最適な投与方法、治療時期、治療方法、薬物使用容量などを明らかにすることが出来る。
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Causes of Carryover |
当初計画より消耗品、備品購入費用などが少なかった。本年度は実験消耗品などの追加で購入が予定されているため、費用を必要とする見込みである。
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Research Products
(2 results)