2018 Fiscal Year Research-status Report
温度感受性タンパク (TRP) チャネルを用いた脳低温療法機序の分子的解明
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17K10830
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
篠山 瑞也 山口大学, 医学部, 特別医学研究員 (70467794)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 局所脳梗塞モデルマウス / 局所脳冷却 / TRPV4チャネル / TRPV4チャネルアンタゴニスト / TRPV4チャネルアゴニスト |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は脳低温療法機序の分子的解明のために,疾患モデルを頭部外傷モデルから局所脳梗塞モデルに変更して実施した.脳梗塞モデルにおける低体温療法の有効性は,1954年のRosomoffらの報告を初めとして,これまで多くの報告がある.しかし,全身冷却による治療は,合併症が多く,侵襲性が高いため,治療として定着していない.そのため,当研究室では脳梗塞に対する局脳所冷却の脳保護効果をこれまでに報告してきた.しかしながら,これまで局所脳冷却の分子的機序を調べた研究は存在するが,脳温度制御による作用を薬剤で代替した研究は極めて少ない.そこで本年度は,先行研究で有効であった冷却温度15℃の条件で不活性化する温度感受性Transient Receptor Potential (TRP) channel subtypeのうち,皮質に発現しているTRP Vallinoid 4 (TRPV4) チャネルに着目し,脳温度制御およびTRPV4チャネル制御による脳保護効果を検討した.Rose Bengal法による局所脳梗塞処置は皮質梗塞巣面積を有意に増加させた.また,この皮質梗塞巣面積の増加は局所脳冷却(15℃)およびTRPV4 チャネル antagonist であるRN-1734の脳室内投与により減少した.さらに,局所脳冷却(15℃)を脳梗塞処置後1時間維持した状態でTRPV4 チャネル agonist であるGSK1016790Aを脳室内投与しても脳梗塞面積は変わらなかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
再現性を含めた重症頭部外傷モデルの作製と脳表温度管理の構築に難渋したため,本年度は頭部外傷モデルから光感受性色素(Rose Bengal)を静脈内投与し大脳皮質表面にレーザー光を照射して血栓を形成させる局所脳梗塞モデルへと変更した.また,脳梗塞部位に対する局所脳冷却に空冷式冷却デバイスを用いたため,データの収集に時間がかかった.
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Strategy for Future Research Activity |
局所脳梗塞に対する局所脳冷却およびTRPV4チャネル制御の脳保護効果については立証できたため,今後は脳保護効果の作用機序解明を実施する.具体的には,TRPV4 チャネルとネクローシス,アポトーシスの関係を明らかにするとともに,血液脳関門の破綻に対するTRPV4 チャネルの作用について検討する.
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Causes of Carryover |
本年度の実験計画から変更があったため,組織学的評価および電気生理学的手法を用いた細胞単位での脳保護効果について検討できなかったため,495,351円未使用額が生じた.この未使用額については,令和元年度で使用する試薬の購入に充てる.
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Research Products
(1 results)