2019 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of molecular mechanism for focal brain cooling using transient receptor potential (TRP) channels
Project/Area Number |
17K10830
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
篠山 瑞也 山口大学, 医学部, 特別医学研究員 (70467794)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 脳梗塞 / 局所脳冷却 / TRPV4チャネル / 細胞死 / 血液脳関門 / TRPV4チャネルアゴニスト / TRPV4チャネルアンタゴニスト |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度は脳梗塞に対する脳低温療法の有効性および作用機序を明らかにするために,TRPV4チャネルの遺伝子を欠損させたTRPV4KOマウスを使用した.本年度の研究結果から,局所脳冷却技術による抗脳梗塞効果の新規作用機序がTRPV4チャネルの不活性化であることがわかった. 以下に本年度の研究成果を列挙する.野生型マウスでは局所脳冷却処置およびTRPV4チャネルの拮抗剤によって脳梗塞モデルマウスの梗塞巣が減少した.また,局所脳冷却処置による梗塞巣の減少はTRPV4チャネルの作動剤によって消失した.一方, TRPV4KOマウスでは局所脳冷却処置を実施せず,脳表温度を37℃に維持しても梗塞巣が減少した.次に,局所脳冷却処置およびTRPV4チャネル不活性化による抗脳梗塞作用の機序を解明するために,脳細胞および血液脳関門に対する効果について検討した.その結果,局所脳冷却処置およびTRPV4チャネル不活性化による抗脳梗塞作用は血液脳関門の破綻および脳細胞死の抑制であった. これらの結果は,TRPV4チャネルの不活性化が局所脳冷却処置による抗脳梗塞作用の主たる作用であることを示していると考えられる.また,局所脳冷却処置による抗脳梗塞作用は薬剤によるTRPV4チャネルの制御によって代替可能であることを示唆している. これまで,脳梗塞に対する局所脳冷却処置の意義を報告した例は少ない.また,局所脳冷却技術の抗脳梗塞作用機序に関しても温度制御による代謝制御および既存治療法以外の観点から解明した例はほとんどない.本研究成果がきっかけとなり,脳温制御による脳梗塞の制御機構が明らかになれば,温度制御による中枢疾患の制御を薬剤に代替する研究へとパラダイムシフトすることが期待できる.
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Research Products
(1 results)