2018 Fiscal Year Research-status Report
慢性炎症をターゲットとした動脈硬化の機序解明と、新たな薬物治療の可能性
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17K10842
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
河野 隆幸 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (50448536)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮田 敬士 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 特任准教授 (50398228)
大森 雄樹 熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (60599116)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | アンジオポエチン様タンパク質2 / 慢性炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の最終的な目標は、動脈硬化の発症、進展を予防する薬剤の開発である。本研究の具体的な目標は、脳神経外科領域で扱う頸動脈プラークの発生、増大、破綻の分子メカニズムを明らかにして新たな薬物療法の開発につなげることである。 近年、動脈硬化の発症、進展に炎症が大きく関わっていることが報告されている。慢性炎症では,長期にわたるストレス応答のため、不可逆的な組織のリモデリングが生じる。この応答機構の変調や破綻が動脈硬化性疾患の発症や進展の原因として近年注目されている。今回我々はその慢性炎症の鍵因子としてアンジオポエチン様タンパク質2(angiopoietin-like protein 2 ; Angptl2)に着目し研究を立案した。血管における局所的なAngptl2 の発現が血管炎症を惹起し、病態形成および進展に関与していると考えられる。そのため頸動脈プラークの発生、増大、破綻の病態に慢性炎症、特にAngptl2 が関与していることが強く推測される。その関与が明らかにされれば、Angptl2 が頸動脈プラークに対する薬物治療や、さらには急性冠症候群や閉塞性動脈硬化症などを含めた全身の動脈硬化の治療標的になる可能性があると考えられる。 現在までに、ヒト頸動脈プラークのサンプルにおいて、Angptl2及びマクロファージのマーカーである、CD68の免疫染色を施行した。プラークにはマクロファージが浸潤しており、浸潤したマクロファージにはAngptl2が発現していることを確認した。またRT-PCRでAngptl2の発現をプラークで確認し、angptl2の頸動脈プラークの病態への関与につき検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
症例の蓄積は行われている。モデル動物の作成で再現性に問題を認めているため、細胞などを使った実験を模索中である。またRT-PCRの条件を検討中でもある。
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Strategy for Future Research Activity |
RT-PCRの条件を検討し、より正確な結果を得られるようにする。 頸動脈プラークモデルの検討を行う。 臨床サンプルでのアンジオポエチン様タンパク質2の発現、分布についてより検討を行う。
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Causes of Carryover |
使用物品の節約、実験の効率化などにより見込みより物品費が少なく済んだ。次年度は最終年度であり動物などの購入に予算が必要であり使用用途に不足はない
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