2018 Fiscal Year Research-status Report
脳血管攣縮におけるmicroRNAを介したシグナル伝達機構の解明
Project/Area Number |
17K10848
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
吉川 雄一郎 埼玉医科大学, 医学部, 客員准教授 (80423515)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗田 浩樹 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (70262003)
林 健 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (40314679)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | くも膜下出血 / 脳血管攣縮 / microRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、ラットくも膜下出血モデルの血液、髄液中に発現するmicroRNAの経時的変化を網羅的遺伝子解析により捉え、モデル動物の神経学的所見、脳血管攣縮、脳損傷の程度と比較することを目標に研究を進めた。ラット総頚動脈を穿刺し4-0ナイロン糸で頭蓋内内頚動脈終末部をperforationし、人為的にくも膜下出血を生じさせたラットくも膜下出血モデル(SAHモデル)を作製した。SAHモデル12個体と非出血モデル(control)12個体から、発症前、発症1時間後、24時間後、48時間後に経時的に血液、髄液をサンプリングした。血液は血漿を用いて解析を行った。血漿からエクソゾームを分離し、さらにエクソゾームからtotal RNAを抽出した。Small RNA分画を確認した後に、microarrayを用いmicroRNAの網羅的遺伝子発現解析を行った。髄液の採取は大槽から翼状針で行ったが、十分な量を安定的にサンプリングすることは困難であり、エクソゾーム中のmicroRNAではなく、全microRNAとして解析を進めた。ラットの脳血管攣縮のピークと考えられているSAH発症24時間後をピークに有意な発現変動を示した遺伝子は血漿、髄液それぞれ20遺伝子以上存在した。ラットモデルは全個体で発症48時間後のサンプリングを行った後に、カーボンブラックインク注入ならびに灌流固定を行い、全脳を摘出し、脳底動脈の血管系を計測した。発症48時間後のSAHモデルの脳底動脈径はcontrolモデルの78%に狭小化したが有意差は認めなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SAHモデルの作製ならびにサンプリング、サンプルからのmiRNAの発現解析を行うことができ、モデル動物の神経学的評価や血管径評価も安定的に行うことができた。したがって、研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、動物モデルの血中で発現変動を認めたmiRNAの中から脳血管攣縮や遅発性脳虚血に関与する可能性のある分子の発現をPCR法で解析し、臨床所見との相関を解析する。さらにヒトの血液、髄液のSamplingを行い、脳血管攣縮や遅発性脳虚血に関与するmiRNAの同定を行う。
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Causes of Carryover |
海外発注したプライマーや抗体類があり、生産側の事情で納期に時間を要しているため当該年度で精算されずに次年度使用額として計上されることとなった。したがって、支払いの時期が次年度に繰り越された状況である。しかしながら、納品次第、実験は予定通り進められる予定であり、使用計画ならびに使用予定にも変更は生じない。
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Research Products
(4 results)