2017 Fiscal Year Research-status Report
慢性硬膜下血腫被膜への好酸球誘導因子の解明と新たな治療法の確立
Project/Area Number |
17K10853
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
大須賀 浩二 愛知医科大学, 医学部, 教授 (40378013)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 泰男 昭和薬科大学, 薬学部, 教授 (10273228)
高安 正和 愛知医科大学, 医学部, 教授 (60216794)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 慢性硬膜下血腫 / 好酸球 / eotaxin-3 |
Outline of Annual Research Achievements |
今回我々は、高齢者において軽微な頭部外傷にて発生する慢性硬膜下血腫において、血腫の増大に深く関与するとされる好酸球の誘導因子などを解明するために本研究を開始した。 好酸球の誘導に深く関与しているとされるeotaxin-3ならびにgalectinの血腫の発現濃度に関してELISAを用いて測定した。また、好酸球の成熟に関与するinterleukin-5 (IL-5)ならびに好酸球の活性化に伴って分泌する好酸球由来ニューロトキシン(Eosinophil Derived Neurotoxin: EDN)に関してもELISAを用いて血腫内の発現濃度を測定した。尚、コントロールとしては、未破裂脳動脈瘤患者の髄液ならびに健常正常人の血清を用いて比較検討した。また、eotaxin-3、galectin、IL-5ならびにEDNの発現濃度において互いに相関関係がないか比較検討を加えた。 髄液ならびに血清と比較すると、慢性硬膜下血腫においてeotaxin-3、galectin、IL-5ならびにEDNは有意に高濃度発現していた。また、eotaxin-3はIL-5ならびにEDNと互いに有意な相関関係を認めたが、一方galectinにおいてはそれぞれに対して相関関係は認めなかった。 以上の結果から、慢性硬膜下血腫においては、ともに好酸球の発現誘導因子であるがgalectinと比較するとeotaxin-3の方が深く関与していることが判明した。また、発現された好酸球はIL-5によって成熟し、EDNの分泌が引き起こされてくる可能性が示唆された。これらの因子が、慢性硬膜下血腫の増大に深く関与していることが解明された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績においても記載させていただきましたが、慢性硬膜下血腫、髄液、健常人の血清を用いて検討を加えた結果、galectin, eotaxin-3, IL-5, EDNと慢性硬膜下血腫の増大に関与してきている因子が判明した。 eotaxin-3がIL-5とEDNとの相関関係を認めており、これらの因子が好酸球の誘導、成熟に関与し、慢性硬膜下血腫の増大に深く関与していることが判明した。 これらの知見は、未だかつて報告されたこともなく、新たな結果を得ており、概ね順調に研究は進展していると判断します。 今後も引き続き探索範囲を広げ、さらに深く検討を加えていきたいと思っています。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、慢性硬膜下血腫も発育段階としてCT画像検査からはhomogenous, laminar, separated, trabecular typeの4段階に分けられており、それぞれの段階でのeotaxin-3, galectin, IL-5ならびにEDNの発現濃度について検討を加え、発育過程におけるそれぞれの因子の関与について検討を加えていく予定です。 更に、ラット慢性硬膜下血腫モデルを用いて、IL-5に対する抗体やIL-5 receptorに対する抗体を用いることにより、慢性硬膜下血腫の発育が抑制されるのかどうか検討を加えていく予定です。 最後に、慢性硬膜下血腫内溶液に関してのみではなく、血腫の被膜における好酸球の果たす役割についても、更なる免疫組織学的な検討を加えていく予定である。
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Causes of Carryover |
以前から購入済みであった抗体ならびにELISAなどの資材を用いての実験が可能であったので、過度の出費はしなくて済んだことにより、次年度使用額が生じたと判断します。 今後は、昨年度得られた結果から、更に検討項目を増やし、ELISAなどの購入を予定していますが、引き続き不必要な資材の購入は控え、必要最低限の購入にて実験をできるように心がけていきたいと思っています。
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Research Products
(10 results)