2018 Fiscal Year Research-status Report
Notchシグナルの核内転写因子RBP-Jk抑制によるグリオーマ幹細胞の制御
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17K10858
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
田中 慎吾 金沢大学, 附属病院, 特任助教 (40507084)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | RBPJk / 膠芽腫 / Stat3 |
Outline of Annual Research Achievements |
膠芽腫患者の手術から得られた臨床検体から腫瘍部位と腫瘍周囲(正常脳側)をHE染色で確認し、RBPJkの免疫染色を施行したところ正常脳側ではRBPJkkの発現は認められないのに対し多数の腫瘍細胞核にRBPJkの染色陽性所見を認められたことから、膠芽腫に対して良い標的になると考えられた。患者検体から樹立した膠芽腫幹細胞5つを使用し、すべての幹細胞においてRBPJkの発現があることを確認した。5つの膠芽腫幹細胞株に対してRBPJkのノックダウンモデルを作成し、コントロール群と細胞増殖能および解析細胞増殖能を比較した。細胞株によって異なるが全細胞株において細胞増殖抑制および幹細胞形質維持抑制効果が得られた。ウエスタンプロットの結果からRBPJkのノックダウンによって程度は様々であるがリン酸化STAT3の低下が認められた。また蛍光免疫染色からSox2の軽度低下が認められた。この結果からRBPJkはSTAT3およびSox2に関与しており細胞増殖、幹細胞形質維持の機能を担っている可能性が示唆された。動物実験では、ヌードマウスに膠芽腫幹細胞をコントロール群(n=3)とRBPJkノックダウン群(n=4)に分けて移殖した。全生存期間中央値はコントロール群72日に対してRBPJkノックダウン群は79日であり統計学的有意差(P=0.03)を認めた。得られた腫瘍の組織切片ではRBPJkノックダウン移殖群ではRBPJkの発現低下が維持されていた。動物実験においてRBPJkの抑制は腫瘍増殖遅延に関連すうる可能性が高く、別の細胞株においても施行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
RBPJkノックダウンモデルの膠芽腫幹細胞株は不安定であり、継代することによって増殖能が消失してしまう場合があり、この場合は再度ウイルスベクターを用いて作成しなければいけない。 動物モデルでは腫瘍形成に非常に期間を要する。
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Strategy for Future Research Activity |
別の膠芽腫細胞株で動物実験を行い、生存期間と各期間での腫瘍形成状態を比較する。また得られた腫瘍検体組織に対して免疫染色を行い、増殖マーカーなどを検証する。
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Causes of Carryover |
主に動物実験に用いる予定である。
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Research Products
(8 results)