2017 Fiscal Year Research-status Report
グリオーマ上皮間葉転換と治療抵抗性の機序解明- 薬剤耐性と幹細胞性維持への関与
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17K10860
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
川瀧 智之 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (20303406)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 正夫 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (90345041)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | グリオーマ / 上皮間葉転換 / 薬剤抵抗性 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、4種のヒト細胞株を用いて、VEGF抗体として臨床で頻用されているベバシズマブを使用して、浸潤能に与える影響を以下の実験で検討し、EMT関連転写因子の増減を検討した。1.Wound healing assay (創傷治癒試験) 細胞は、A172,KG1C,T98G,U251を使用した。各細胞を10cm dishで培養し、セミコンフルエントになった時点で、200μチップで培養面の細胞をこすり取り、その後、以下の条件で、培養を継続する。経時的にカメラ撮影を行い、細胞を除去したスペースへ浸潤した細胞の距離を計測し定量化した。通常の培養液/+ベバシズマブ各濃度で8時間、16時間、24時間の各ポイントで観察し比較した。その結果、ベバシズマブは、2.5-5.0μg/mlの濃度で細胞の浸潤能が促進された。2.Trans migration assay(細胞遊走能試験)ウェル底部がポアサイズ8.0μmのポリエステルメンブレンで仕切られた上層内に一定量の細胞をまき、メンブレンを透過して移動した細胞をカウントし、遊走能を比較しベバシズマブ依存性の細胞遊走能を各細胞で比較した。その結果、遊走能では、ベバシズマブ5.0μg/mlにて細胞の形態がより浸潤性となり浸潤細胞も多くなった。3.MTT assay 各細胞の培養におけるベバシズマブの濃度依存性の細胞増殖の差についてベバシズマブを各濃度72時間、96時間培養後の細胞数をMTT assayにて比較した。この結果、ベバシズマブ依存性の細胞増殖能の変化はみられなかった。4.BEV依存性のEMTに関連した転写因子の変化 EMT関連因子について定量的PCRにて比較した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、ベバシズマブと関連するEMT転写因子について、定量的PCRを行っており、標的転写因子について確証を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在明らかにしつつあるグリオーマのEMT転写因子であるZEB1/2に加え膠芽腫の大規模アレイ解析のmesenchymal subtypeで高発現が指摘されているTwistの発現レベルを、ヒトグリオーマ細胞株で明らかにする。さらに、ゲノム編集法によりZEB1/2などをノックアウトした細胞株を作成し、細胞外マトリックス、薬剤感受性因子、幹細胞性維持への影響をマイクロアレイ解析により明らかにする。薬剤耐性及び幹細胞性維持に関与している既知の遺伝子群の変化と転写因子を制御するmicroRNA200 (miR200)を使用して転写阻害効果を解明する。薬剤感受性については、テモゾロミドやベバシズマブとEMT転写因子阻害の相乗効果について、in vivo/ in vitroの系を用いて明らかにする。
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Causes of Carryover |
当該年度は、マウスの購入が予定より少なくなったこと、抗体の購入が少なかったことなどから、予算案との差が生じた。繰越額と平成30年度研究費については、マウスの移植実験を積極的に行い、新規抗体購入も予定しており、過不足なく予算を使用する予定である。
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Research Products
(1 results)