2018 Fiscal Year Research-status Report
グリオーマ血清/髄液中DNA高感度解析によるliquid biopsyの確立
Project/Area Number |
17K10874
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
齊藤 邦昭 杏林大学, 医学部, 学内講師 (50446564)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | liquid biopsy / glioma / digital PCR / cancer panel |
Outline of Annual Research Achievements |
難治性のグリオーマにおいて、血清/髄液中の腫瘍由来DNAを抽出して、遺伝子変異やDNAメチル化について高感度解析を行い、腫瘍の診断や再発の早期発見、バイオマーカーの検出を目指すことを目的として本研究を計画した。 2015年5月以降、グリオーマ症例の術前の血清保存を行っており、本年度も継続して採取を行い、152例において血清の保存をしている。また、比較として利用可能な他の疾患の血清の保管も行っており、55例を保有している。2017年より、腰椎穿刺を行った症例については髄液も保存しており、62例(グリオーマ22例、その他腫瘍40例)の髄液を保存した。 血清中DNAの抽出について、QIAGEN社のQIAamp Circulating Nucleic Acid Kitを用いて行ったところ、微量なDNAの抽出が得られた。このDNAを用いてMGMTメチル化解析をMSP法にて行ったが、はっきりとしたDNA増幅がみられなかった。また、髄液中のDNAの抽出も行い、今後遺伝子解析を行っていく予定である。 血清/髄液DNAで解析した結果を腫瘍検体の結果と比較するために、腫瘍検体から抽出したDNAにおいてIon Ampliseq Cancer Hotspot Panelを用いた遺伝子変異解析を行い、腫瘍形成に関与していると思われる遺伝子異常を検出した。また、膠芽腫の初発時と再発時における遺伝子変異解析を、Ion Ampliseq Comprehensive Cancer Panelを用いて行って腫瘍検体における遺伝子変異の経時的変化を確認した。今後、血清/髄液の腫瘍由来DNAにおいてもこれらの高感度解析を行っていく予定であるが、血清/髄液のDNAメチル化や遺伝子変異が腫瘍でみられる異常を反映しているかどうか比較するためのコントロールデータが得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
血清や髄液中の腫瘍由来DNAについては、微量ながら検出することに成功したものの、変異解析やメチル化解析を安定に行うほどのqualityが得られなかった。高感度解析法であるデジタルPCRを用いて解析を試みているが、血清の解析では安定した結果が得られていない。髄液中のDNAを用いると腫瘍と一致した結果がえられるという報告が散見されており、髄液からのDNA抽出、解析を行っている。また、腫瘍検体において次世代シークエンサーを用いた解析を多数行い、神経膠腫の遺伝子変異について詳細なデータが得られたため、血清/髄液の結果と比較するためのコントロールデータは十分そろったと考える。しかしながら、目的としている血清/髄液の解析がまだ安定しないことから、やや遅れていると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
血清から抽出したDNAの解析は困難であり、DNA抽出精度、高感度PCR解析精度を上げていく必要がある。髄液中のDNAは検出可能性が高いという報告があり、髄液から抽出したDNAを用いた解析も同時に行っていく。また、digital PCRでの単一遺伝子の解析に続き、次世代シークエンサーを用いた解析を行っていく。サンプルの数は十分あるため、これらの至適条件決定後は研究の進捗が大いに期待できる。
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Causes of Carryover |
血清/髄液中のDNAを用いた遺伝子解析の精度が安定しないため、多数のサンプルを用いた解析をまだ行っていない。また、次世代シークエンサーを用いた解析もその後に行う予定であり、多数のサンプル解析のための実験用試薬や実験器具に関して今年度は必要としなかった。そのため、予定より費用が少なくなり次年度使用のための予算が生じた。 3年目の2019年度は、多数のサンプルについて各種解析を行い、研究を推進していく予定である。当該未使用額は解析費に充てる予定。
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Research Products
(5 results)