2019 Fiscal Year Research-status Report
グリオーマ血清/髄液中DNA高感度解析によるliquid biopsyの確立
Project/Area Number |
17K10874
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
齊藤 邦昭 杏林大学, 医学部, 学内講師 (50446564)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | liquid biopsy / glioma / digital PCR / cancer panel |
Outline of Annual Research Achievements |
難治性のグリオーマにおいて、血清/髄液中の腫瘍由来DNAを抽出して、遺伝子変異やDNAメチル化について高感度解析を行い、腫瘍の診断や再発の早期発見、バイオマーカーの検出を目指すことを目的として本研究を計画した。2015年5月以降、グリオーマ症例の術前の血清保存を行っており、本年度も継続して採取を行い、190例において血清の保存をしている。また、比較として利用可能な他の疾患の血清の保管も行っており、67例を保有している。2017年より、腰椎穿刺を行った症例については髄液も保存しており、99例(グリオーマ44例、その他腫瘍55例)の髄液を保存した。血清中DNAの抽出に難渋して、遺伝子解析に十分なDNAを抽出することが困難であった。髄液中の腫瘍由来DNA抽出も行ったところ、中枢神経悪性リンパ腫では36例中28例で採取可能であったが、グリオーマでは検出感度以下であった。プロメガ社の自動核酸精製装置(Maxwell RSC Instrument)を用いて髄液や血清中のDNA抽出を行うと、グリオーマにおいてもDNA抽出が可能であった。 血清/髄液DNAで解析した結果を腫瘍検体の結果と比較するために、腫瘍検体から抽出したDNAにおいてIon Ampliseq Cancer Hotspot Panelを用いた遺伝子変異解析を行い、腫瘍形成に関与していると思われる遺伝子異常を検出した。また、膠芽腫の初発時と再発時における遺伝子変異解析を、Ion Ampliseq Comprehensive Cancer Panelを用いて行って腫瘍検体における遺伝子変異の経時的変化を確認した。今後、血清/髄液の腫瘍由来DNAにおいてもこれらの高感度解析を行っていく予定であるが、血清/髄液のDNAメチル化や遺伝子変異が腫瘍でみられる異常を反映しているかどうか比較するためのコントロールデータが得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
QIAGEN社のQIAamp Circulating Nucleic Acid Kitを用いてグリオーマの血清/髄液中腫瘍由来DNA抽出を試みたが、ごく微量しか検出できなかった。遺伝子変異やメチル化の解析を行うには十分ではなく、抽出方法を見直す必要があった。年度後半に、安定した抽出が可能なプロメガ社の自動核酸精製装置を購入し、血清/髄液由来のDNAを抽出したところグリオーマにおいても検出することが可能となった。 腫瘍検体における各種遺伝子変異解析やメチル化解析、コピー数異常などのデータはそろっており、再発で手術した検体ではそれら分子異常の経時的変化も解析ずみである。検出ずみの血液や髄液のctDNAにおいても同様の遺伝子解析を行い、腫瘍検体の結果と比較することでliquid biopsyの精度を検証することができる。主に血清/髄液中のDNA抽出の遅れにより、予定年度内に解析を完遂できなかったことから、研究の進捗は遅れていると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
血清/髄液中の腫瘍由来DNAを用いた遺伝子解析が可能になったため、digital PCR、次世代シークエンサーによる解析を行っていく。すでに得られている腫瘍検体のmolecular statusと比較し、予後との相関などについて検証していく。また、治療前後、フォローアップ中の検体を用いてliquid biopsyを行い、治療効果判定や腫瘍の再発の診断に有用であるかの検証も行う。
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Causes of Carryover |
血清/髄液中のDNAを用いた遺伝子解析の精度が安定しないため、多数のサンプルを用いた解析をまだ行っていない。また、次世代シークエンサーを用いた解析もその後に行う予定であり、多数のサンプル解析のための実験用試薬や実験器具に関して今年度は必要としなかった。そのため、予定より費用が少なくなり次年度使用のための予算が生じた。 1年延長した4年目に、digital PCRや次世代シークエンサーによる遺伝子解析を行い、研究を推進していく予定である。当該未使用額は解析費に充てる予定。
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[Journal Article] DNA demethylation is associated with malignant progression of lower-grade gliomas.2019
Author(s)
3.Nomura M, Saito K, Aihara K, Nagae G, Yamamoto S, Tatsuno K, Ueda H, Fukuda S, Umeda T, Tanaka S, Takayanagi S, Otani R, Nejo T, Hana T, Takahashi S, Kitagawa Y, Omata M, Higuchi F, Nakamura T, Muragaki Y, Narita Y, Nagane M, Nishikawa R, Ueki K, Saito N, Aburatani H, Mukasa A
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Journal Title
Scientific Reports
Volume: Feb 13;9(1)
Pages: 1903
DOI
Peer Reviewed
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