2017 Fiscal Year Research-status Report
脳原発悪性リンパ腫におけるMTX単独療法に対する感受性バイオマーカーの探索
Project/Area Number |
17K10880
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
野々口 直助 大阪医科大学, 医学部, 講師 (70388263)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥崎 大介 大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (00346131)
池田 直廉 大阪医科大学, 医学部, 講師 (50434775)
古瀬 元雅 大阪医科大学, 医学部, 講師 (70340560)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 悪性リンパ腫 / PCNSL / 化学療法単独治療 / 分子マーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト中枢神経原発悪性リンパ腫(Primary central nervous system lymphoma:以下PCNSLと表記)は中枢神経系に限局した節外性リンパ腫で、同疾患に対してはロイコボリン救援療法を前提としたメソトレキセート大量化学療法(High dose methotrexate:以下HD-MTXと表記)を3クール実施した後に、全脳に30~40 Gy の放射線治療(whole brain radiation therapy:以下WBRTと表記)を実施するのが現行の標準的治療法である。しかしながらPCNSLの再発率は依然高く、最終的には腫瘍死あるいは遅発性治療関連中枢神経毒性(白質脳症)による高次脳機能の低下を余儀なくされる症例は多く、脳機能を良好に維持しつつ治癒に至る症例の割合は非常に少ないのが現状である。PCNSL症例の半数を占める60歳以上の患者では、HD-MTXとWBRTを併用することで白質脳症による高次脳機能障害を生じるリスクは上昇することが知られており、QOLを高い状態に維持しつつ如何に生存期間を延ばせるかが臨床的課題である。もしHD-MTXのみで長期間CRを維持できる症例を事前に予測し、個々の患者に対して最適なテイラーメード医療を提供するための分子マーカーが判明すれば、WBRTの回避や照射線量の低減を試みる臨床試験を検討することも可能となる。本研究では「HD-MTX単独治療」によってCRが得られた患者群(以下「CR群」)と、HD-MTXへの反応が乏しく同治療を3回終了した時点でPDと判定されWBRTを実施した患者群(以下「PD群」)を比較することにより、HD-MTX療法に対する感受性を高い精度で事前予測できる「遺伝子マーカー」を探索中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は概ね当初の計画通りに進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
Training cohort(CR群:10症例・PD群:10症例)である20症例のPCNSLに由来するDNA標本を対象に、ゲノムシーケンスならびにゲノムメチル化解析を実施し、相関解析・連鎖不均衡解析等の統計学的手法を用いてHD-MTX療法の感受性に関わるジェノタイプ・マーカーおよびエピジェノタイプ・マーカーを抽出し、最終的にCR群とPD群間のχ2検定のP-valueが0.00165未満(=判別精度の期待値が85%以上)のものを分子マーカーの候補として同定する。 Sanger sequenceおよびbisulfite pylosequencingによってその存在をvalidationした後、独立した“validation cohort”を対象として検証実験を行い、「HD-MTX療法単独治療」でCRとなることを事前予測する精度(感度・特異度)を求め、臨床的な有用性が期待できる分子マーカーを絞り込む予定である。
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Causes of Carryover |
研究に使用した消耗品の購入価格(海外からの輸入品)が為替の関係で当初の見積もりよりも安くなったため、332円が次年度使用額として残っています。
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