2017 Fiscal Year Research-status Report
磁気共鳴画像支援により受動的誘導可能な機材開発の基礎的研究
Project/Area Number |
17K10897
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
藤田 敦史 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (60379360)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 磁気共鳴画像 / 血管内治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究で受動的誘導に用いるカテーテルの開発を行った.既存のマイクロカテーテルの先端に装着したマイクロコイルに微弱電流を流すことで,磁場内でカテーテル先端を受動的に変形,誘導することを目的とした.通常の臨床で用いられる先端部2.3フレンチ(Fr)のマイクロカテーテル先端に微細な銅線を密に巻くことでマイクロコイルを形成した.マイクロコイルは30,40,50ターンの複数を作成し,視認性,誘導に関する検討を行った.コイルからの絶縁誘導線は計画ではカテーテル内腔を通す予定であったが,カテーテル内腔(0.56mm)に複数のリード線を通すことが技術的に難しく,本年度の研究ではカテーテル外を併走して手元部まで誘導することでパワーボックスに接続する誘導線とした.マイクロコイルには10mmAから700mmA程度までの電流を流すことで磁場を発生させた.開発したカテーテルの視認性は,先行研究で導入した拍動血管モデルファントム(持続1%ガドリニウム溶液灌流型)を使用,検討した.静止画像でのマイクロカテーテル描出能の検討では,マイクロコイルの巻数,電流を変化させてカテーテル先端部に関して画像のゆがみを含めた描出能を,カテーテル先端部から1cm,5cmの部分でSNR(信号雑音比),CNR(造影雑音比)を算出した.マイクロコイルのターン数では,30-50の間ではターン数に合わせてSNRが改善されるが,電流は300mAを境にノイズが増えることを示した.追尾に用いるリアルタイム撮影での視認性に関しても検討を行った.先行研究で開発してきたfully refocused steady-state free precession (SSFP)撮影はコイルのターン数,電流の増加に伴い明らかにSNR,CNRの低下が認められ,次年度以降で撮像条件の改善を予定する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マイクロコイル装着カテーテルの開発は概ね順調に進展していると考える.作成したマイクロコイル装着カテーテルの描出能を様々な条件で検討しえた.本年度の研究で生じた問題点はコイル先端からの絶縁誘導線の扱いである.当初の計画ではカテーテル内腔に二本の絶縁誘導線を手元まで通す予定であったが,技術的に断念せざるをえなかった.しかしながら,この方法では臨床応用を考えた時にはカテーテル内腔にガイドワイヤー等のディバイスを通すことができず,現段階ではカテーテル外を誘導する方法で研究を推進する.実用化に向けてはカテーテル壁に埋め込むことが理想であるが,この点に関しては今後の検討を要し,産学協同開発等の方策を模索する.また,先行研究で検討したカテーテル追尾に用いるSSFP撮影は受動的誘導に用いるマイクロコイル導入により,アーチファクトが増大することが判明し,この改善も次年度以降の課題とする.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度のマイクロコイル装着マイクロカテーテル可視化の研究成果を基礎として,マイクロコイル装着マイクロカテーテルの受動的誘導に際する熱発生の検討を行う.本研究で使用するカテーテルは,先端に装着したマイクロコイルに微細電流を流すことで磁場を発生し,受動的にマイクロカテーテルを誘導するコンセプトであるが,この機器の臨床応用を考える際には先端コイルに発生する熱が血管壁に与える影響を考慮する必要がある.前年度検討した画像の視認性から得られた至適電流を流す際のコイル先端部の温度を様々な環境下で測定する.コイル先端部の温度測定用には,マイクロカテーテル先端部に市販されている細径の熱電対温度計を設置して測定することとする.電流が流れる時間等を変更して温度変化を測定し,それが生体に与える影響を検討する.また,温度変化を最小限に抑えるための補助的な手法,例えばマイクロカテーテル内に冷却用の灌流液を流したときの効果を検討する.体温に近い37度の灌流液を流す場合や,低体温療法時に使用する32度の灌流液,ないしは冷却効果が不十分な場合は25度の灌流液での検討を計画する.これらの実験結果から,本年度はカテーテルの発熱に関してその安全性や,冷却効果に関して確立する段階まで発展させたい.
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