2017 Fiscal Year Research-status Report
頚椎症性脊髄症による手指巧緻運動障害の神経基盤の解明と治療戦略の構築
Project/Area Number |
17K10907
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
岩室 宏一 順天堂大学, 医学部, 特任講師 (80384775)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊澤 奈々 順天堂大学, 医学部, 助手 (60384038)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 頚椎症性脊髄症 / 巧緻運動 / 脊髄固有ニューロン / MEP / 筋電図 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、霊長類を用いた研究から、手指の巧緻運動において、頚髄C3-4レベルに存在する脊髄固有ニューロンが重要な役割を果たしていることに注目が集まっている。しかし、ヒトにおける知見はほとんどない。そこで、本研究は、手指巧緻運動障害を呈する頚椎症患者を行動学的、放射線学的、生理学的に詳細に解析することで、ヒトにおける巧緻運動の神経基盤の解明をめざすものである。 本年度は、頚椎症性脊髄症の患者の神経学的診察、手指巧緻運動ビデオモニタリング、頸椎MRI検査を実施した。その結果、母指と示指による把持動作において、C3/4レベルの障害患者では、①母指の関節の運動が乏しく、示指の運動に主に依存していること、②示指の屈曲とともに中指も屈曲する傾向があること、③把持直前のweb spaceの開きが不十分であることが明らかになった。また、これらの特徴は、手術によって頸髄への圧迫を解除することによって、改善を認めた。 この結果から、高位レベルの頚髄障害では、運動の分離と協調性の低下が手指の巧緻運動障害を引き起こしていることが示唆された。 現在、生理学的評価のための上肢MEP測定システムを構築中である。今後、手指巧緻運動障害を呈する頚椎症患者で上肢MEP記録を行い、生理学的評価を進めていく計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の対象は他の障害を伴わない頚椎症脊髄症の手術患者であるが、本年度は例年よりも対象患者数が少なかった。 また、生理学的評価のために上肢MEP測定システムを構築中であるが、尺骨神経刺激の同期に難渋している。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、頚椎症性脊髄症の手術患者の評価を継続するとともに、尺骨神経刺激を同期させたMEP記録システムの構築のために、他大学工学部の研究室との連携でアドバイスを受ける予定である。
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Causes of Carryover |
生理学的評価のための上肢MEP測定システムの構築が遅延したために、今年度の使用額が予定を下回った。次年度分の請求額と併せて、測定システムの購入にあてる計画である。
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Research Products
(2 results)