2018 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of new pathological phenomena in adult onset temporal lobe epilepsy and the potential therapeutic effect of glycated protein expression control
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17K10908
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
中島 円 順天堂大学, 医学部, 准教授 (50317450)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮嶋 雅一 順天堂大学, 医学部, 教授 (60200177)
新井 一 順天堂大学, 医学部, 教授 (70167229)
西村 欣也 順天堂大学, 医学部, 教授 (80164581)
菅野 秀宣 順天堂大学, 医学部, 准教授 (90265992)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 扁桃体 / 側頭葉てんかん / 海馬 / てんかん原生 / 脳波 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年の画像診断の進歩により,側頭葉てんかんの中で,扁桃体腫大が注目されている.本研究では本病態を症候学的,電気生理学的,および病理学的に後方視的解析し,疾患病態を明らかにすることを目的にした.MRI上片側性の「扁桃体腫大を伴う薬剤難治性側頭葉てんかん」, 11症例,平均年齢34.9歳 (range, 23-57)を対象に、本病態の症候学的特徴を検討した。扁桃体の大きさは,病側は1768.6 mm3 から2486.4 mm3 (平均, 2051.5 mm3)であり,健側は1503.4 mm3 から 2471.3 mm3 (平均, 1789.8 mm3)で,片側の扁桃体腫大を同定した(p<0.01).発作症候は全例にfocal impaired awareness seizures (FIAS)が認められ,8例(72.7%)に手の自動症が,1例に口部自動症が認められた.前兆症状として胃部不快感,自律神経症状を呈したものは3例(27.3%)であった.脳糖代謝(FDG-PET)の結果では,海馬,扁桃体ともに軽度の脳糖代謝低下を認めたが,ウエクスラー記憶検査による記憶機能評価では「言語性記憶」,「視覚性記憶」,「注意/集中力」,および「遅延再生」全ての項目で保たれ,記憶障害は認められなかった.発作焦点を硬膜下電極による終夜ビデオ脳波記録で同定し,焦点切除を施行した.慢性皮質脳波の結果,てんかん発作起始部位は扁桃体のみならず高率に海馬も含まれ,広域周波数解析においても,てんかん原生マーカーとされる高周波成分が海馬に多く認められ,海馬硬化症を原因とするものとは異なり,記憶機能が保たれ,組織像では軽度のgliosisのみが観察され,病理学的変化が乏しいことが判明した.電気生理学的には,海馬がてんかん発症機序に関係し,扁桃体のみでなく海馬にもてんかん原生を有していると考えられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は成人(高齢者)二次性側頭葉てんかんおよび関連する認知機能障害に対する病態解析と糖化蛋白の発現量を調整してんかん原性形成抑止を目的とした疾患予防治療を確立することを目的とする。薬剤難治性に経過した扁桃体腫大型側頭葉てんかんに着目し、摘出病理組織の電気生理学的かつ分子生物学的な分析を行い、結果、従来の海馬硬化症を伴う側頭葉てんかんと比較し、組織像では軽度のgliosisのみが観察され,病理学的変化が乏しく、記憶機能が保たれ,扁桃体のみでなく海馬にもてんかん原生を有しているという新しい知見を認め、新たな側頭葉てんかんの病型分類を構築することが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
今回臨床研究で、我々は扁桃体腫大型側頭葉てんかんの病態を明らかにしたが、てんかん原生形成に対する治療法の確立には至っていない。そこで、今年度はCAG-loxP-GFP-loxP-LRG1遺伝子導入マウスを用いたピロカルピン酸てんかんモデルによる成人二次性てんかん原性形成に対するトランスレーショナルリサーチを推進し、てんかん原生形成を抑制するために必要な脳内環境について検討する。具体的には、Leucine-rich alpha2 glycoprotein (LRG1)の脳内過剰発現させたてんかん動物モデルを用いて、てんかん慢性期のてんかん発作抑止効果(発作時の神経活動電位の低下)、慢性炎症性メディエーターの発現の減少を実証し、認知行動実験、およびパッチクランプによる長期増強を解析し、認知行動変化に影響を与えないLRG1の発現量を検証する。
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Causes of Carryover |
昨年度、研究代表者が国際共同研究の協力施設である東フィンランド大学に4月-12月籍を置き、協力研究機関で主に本研究を実行した。その期間は国際共同研究費を主に使用することで研究を推進した。また今年度はてんかん動物モデルを中心とした研究を推進することで、昨年度より研究使用経費の増額が予想されるため、研究費を繰り越し今年度の研究費予算としている。
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Research Products
(10 results)
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[Journal Article] Preoperative phosphorylated tau measurement of cerebrospinal fluid can predict cognitive function 3 years after shunt surgery in patients with idiopathic normal pressure hydrocephalus.2018
Author(s)
Madoka Nakajima, Masakazu Miyajima, Ikuko Ogino, Chihiro Akiba, Kaito Kawamura, Yoshinao Harada, Takeshi Hara, Hidenori Sugano, Kostadin Karagiozov, Takeshi Ikeuchi, Takahiko Tokuda, Hajime Arai
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Journal Title
J Alzheimers Dis.
Volume: 66
Pages: 319-331
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Change of amyloid-β 1-42 toxic conformer ratio after cerebrospinal fluid diversion predicts long-term cognitive outcome in patients with idiopathic normal pressure hydrocephalus.2018
Author(s)
Chihiro Akiba, Maodka Nakajima, Miyajima Masakazu, Ikuko Ogino, Yumiko Motoi, Kaito Kawamura, Satoshi Adachi, Akihide Kondo, Hidenori Sugano, Takahiko Tokuda, Kazuhiro Irie, Hajime Arai
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Journal Title
J Alzheimers Dis.
Volume: 63(3)
Pages: 989-1002
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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