2019 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of new pathological phenomena in adult onset temporal lobe epilepsy and the potential therapeutic effect of glycated protein expression control
Project/Area Number |
17K10908
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
中島 円 順天堂大学, 医学部, 准教授 (50317450)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮嶋 雅一 順天堂大学, 医学部, 教授 (60200177)
新井 一 順天堂大学, 医学部, 教授 (70167229)
西村 欣也 順天堂大学, 医学部, 教授 (80164581)
菅野 秀宣 順天堂大学, 医学部, 先任准教授 (90265992)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 扁桃体腫大 / 炎症メディエーター / 糖化蛋白 / てんかん原性 / パッチクランプ |
Outline of Annual Research Achievements |
「てんかん」の発症は、小児期と高齢者の二峰性を示し,80歳代では3%の発症率が報告される.高齢者になってからのてんかん発症は主に焦点性てんかん,なかでも側頭葉てんかんが多く,エピソード記憶の欠如から認知症疾患として扱われることも多い.二次性てんかん原性形成についてはいまだ不明な点が多く,「脳内環境における慢性炎症」は、近年さまざまな後天的な高齢者脳神経疾患の原因としても注目されている.本研究では,成人(高齢者)二次性側頭葉てんかんおよび関連する認知機能障害に対する病態解析と糖化蛋白の発現量を調整してんかん原性形成抑止を目的とした. 臨床研究では,高齢で発症し薬剤難治性に経過した扁桃体腫大型側頭葉てんかんに着目し,電気生理学的な解析と摘出病理組織の分子生物学的な分析を行なった.Volumetric MRIにて扁桃体,海馬の体積を測定し,FDG-PETによる海馬及び扁桃体での脳糖代謝を解析し,また硬膜下電極による脳波高振幅周波解析結果と術中脳波の結果,切除された内側側頭葉検体を鈎、扁桃体、海馬etc.部位ごとに免疫染色を行い,病理学的変化を解析した.外科的切除を施行した片側性の扁桃体腫大を伴う側頭葉てんかんについて,臨床的,形態学的および病理学的特徴を明らかにし,てんかん原性(発作起始部位)を解析した結果,腫大は鉤から扁桃体に在り,てんかん発作は扁桃体と海馬より起始し,側頭葉および前頭葉外側皮質に伝播していた.同一心理士による神経心理学的に評価を加えた結果,扁桃体切除及び海馬に対する多切により,大脳辺縁系へのてんかん波の伝搬抑止効果が得られ,認知機能が保護されることが示唆された. 基礎研究では,側頭葉てんかん動物モデルを作成し糖化蛋白であるLeucine-rich alpha2 glycoprotein (LRG1)の発現によるてんかん抑止効果,認知機能の保護効果を確認した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
扁桃体腫大型側頭葉てんかんに対し,volumetric MRIにて扁桃体,海馬の体積を測定し,FDG-PETによる海馬及び扁桃体での脳糖代謝を解析した.また硬膜下電極による脳波高振幅周波解析結果と術中脳波の結果,切除された内側側頭葉検体を鈎、扁桃体、海馬etc.部位ごとに免疫染色を行い,病理学的変化を解析した.同一心理士による神経心理学的に評価を加えた.外科的切除を施行した片側性の扁桃体腫大を伴う側頭葉てんかんについて,臨床的,形態学的および病理学的特徴を明らかにし,てんかん原性(発作起始部位)を解析した結果,腫大は鉤から扁桃体に在り,てんかん発作は扁桃体と海馬より起始し,側頭葉および前頭葉外側皮質に伝播していた.本研究結果をまとめ,海外ジャーナルに報告した(Epileptic Disord. 2019 Jun). 一方,基礎研究では,てんかん動物モデルによる糖化蛋白であるLeucine-rich alpha2 glycoprotein (LRG1)の発現によるてんかん抑止効果,認知機能の保護効果を確認し,結果を論文にまとめている.現在,追加実験を行い,海外のジャーナルに投稿予定である.
|
Strategy for Future Research Activity |
LRG1遺伝子改変マウスおよびC57BL6Jマウスにピロカルピン(3000mg/kg i.p.)を投与し,てんかん重積発作(status epilepticus, SE)を誘発し,安定的に二次性側頭葉てんかんモデルを作成した.本てんかん動物モデルに対し,認知行動試験と脳スライスによるパッチクランプ法による電気生理学的な解析を行い,結果,海馬への糖化蛋白の発現がてんかん抑止的効果を有することが判明した. 現在追加実験を行っており,LTG1発現がGLT1,パルブアルブミン,TGFβ,AQP4てんかん関連蛋白へ与える影響を免疫染色,PCR発現解析を解析中である.今後これらの結果をまとめ,論文化し海外ジャーナルにて報告する.
|
Causes of Carryover |
業務が多忙であり、研究遂行に想定以上に時間を要したため、研究結果の報告をまとめることが遅れてしまった。期間延長することで、来年度、より精緻に研究結果をまとめ、論文を投稿する予定である。
|
Research Products
(6 results)