2017 Fiscal Year Research-status Report
分子標的時代における放射線壊死の病態解明と新規診断・新規治療への挑戦
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17K10911
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
古瀬 元雅 大阪医科大学, 医学部, 講師 (70340560)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川端 信司 大阪医科大学, 医学部, 准教授 (20340549)
野々口 直助 大阪医科大学, 医学部, その他 (70388263)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | bevacizumab / brain tumor / radiation necrosis / radiological diagnosis |
Outline of Annual Research Achievements |
放射線壊死の病態解明に向けて、まずは今までの知見および当院で行ってきた基礎研究をレビューし、放射線壊死の病理学的所見をまとめた。放射線壊死の主病態は炎症と血管新生であると考えられる。HIF-1α、VEGF、サイトカイン、ケモカインなどの分子が相互に反応し、炎症と血管新生が併存していると考えられる。特にHIF-1αは早期に発現している可能性が高く、key moleculeの1つと考えられる。この内容は「脳腫瘍治療後放射線壊死」として、近畿脳腫瘍病理検討会の機関紙である“Neuro-Oncologyの進歩”に投稿し、採択された。また、新規診断法の開発に向けて、今までの放射線壊死の放射線学的診断についてシステマティックレビューを行った。通常医療機関が有するCT, MRIによる放射線学的診断、およびSPECTやPETといった特定施設した有しない核医学的検査による診断に分けてレビューを行った。血流や代謝を評価する画像は必ずしも診断の感度・特異度が高いわけではなく、複合的診断は診断精度を向上することが判明した。 基礎研究は、現時点ではまだ成果が出ていない。従来の放射線壊死モデルを作成する研究協力者(大学院生)がいなくなったため、モデル作成が出来ていない状態である。年度内に新たな研究協力者を得ることは不能であったため、研究継続のため、ホウ素中性子捕捉療法研究班とホウ素中性子捕捉療法を用いた放射線壊死のモデル作成を検討しており、新たなモデル作成を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
さらなる病態解明、新規診断・治療に向けて、まずは現在までの報告をレビューすることは今年度である程度の結果がまとまってきた。ただし、基礎研究においては、まずは放射線壊死の動物モデルを作成しなければならないが、大学院生の交代期にて、担当者が決まっていないのが現状である。放射線壊死モデルは安定したモデル作成が求められるため、習熟にも期間を要するため、病態解明研究のスタートが遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
放射線壊死の放射線学的診断におけるシステマティックレビューを、論文化しているため、今年度中に採択されることを目指す。このレビューより複合的に画像診断を評価することが望ましいことがわかったため、どのような組み合わせの診断方法が現実的に可能であり、最も望ましいかを検討する。特に、実現性を考慮すると、保険診療内で施行できる検査が望ましい。診断セットが決まれば、その診断セットにて前向きにデータを取得していく。基礎研究に関しては、担当する大学院生が決まれば、まずは放射線壊死の安定したモデル作成を習得させる。安定が確認でき次第、照射後経時的に画像検査や組織採取を行い、発現分子の確認を行う。人員確保が引き続き困難な場合はホウ素中性子捕捉療法研究班と協力し、ホウ素中性子捕捉療法による新たな放射線壊死のモデル作成を進めていく。
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Causes of Carryover |
基礎研究が進んでいないため、次年度の基礎研究の費用として予算を残存させ、確保した。新たな研究協力者が得られた場合、前年度の費用も加えて動物モデルの作成に使用する予定である。
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Research Products
(4 results)