2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K10913
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
浅野 毅 北海道大学, 医学研究院, 助教 (50722493)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 慎介 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 講師 (10404211)
角家 健 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), その他 (30374276)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 血液脳脊髄関門 / 脊髄損傷 / 神経保護 / ドラッグリポジショニング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は血液脳脊髄関門(Blood brain spinal cord barrier:BBSCB)に対して保護作用のある薬剤の同定を通して、新規神経保護薬の開発を目指す。具体的には、北海道大学が所有する、既存薬と新規化合物ライブラリーを使用して、ハイスループットスクリーニングを行い、脳血管内皮細胞保護効果を持つ候補化合物を同定し、引き続いて行う各種試験によって候補化合物の数を絞り込んだ後、実際に脊髄損傷モデルに使用して、神経保護効果を確認する。昨年度は、ヒト脳血管内皮細胞株(hCMEC/D3)と過酸化水素(H2O2)を使用したハイスループットスクリーニング方法を確立した後、実際に既存薬1,600種と北大オリジナル化合物の2,835化合物に対してスクリーニングを行った。3標準偏差を超える保護効果を示した既存薬16種(1%)と11化合物(0.4%)を候補薬剤として選択し、同じヒト細胞株を使用した濃度依存性試験、同時負荷試験、OGD試験結果によって、既存薬を4種に絞り込んだ。次に、初代培養細胞を用いたOGD試験によって、1候補薬剤の効果検証を行ったが、コントロールと比較して、経上皮電気抵抗と高分子透過性を有意に保ち、BBSCB機能保護効果を示した。これら一連の結果は、我々が開発したハイスループットスクリーニングがBBSCB機能保護効果を持つ薬剤の絞り込みに有用であることを示唆している。今後はさらなるスクリーニングによる候補薬剤の絞り込みと、実際にそれらの薬剤が動物実験において、神経保護効果を有するか確認していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト脳血管内皮細胞株(hCMEC/D3)と過酸化水素(H2O2)を使用したハイスループットスクリーニング方法を確立し、既存薬1,600種と北大オリジナル化合物の2,835化合物に対してハイスループットスクリーニングを施行した。また、同じヒト細胞株を使用した濃度依存性試験、同時負荷試験、OGD試験結果によって、既存薬を1,600種から4種に絞り込んだ。次に、初代培養細胞を用いたOGD試験によって、候補薬剤の効果検証を行ったが、コントロールと比較して、経上皮電気抵抗と高分子透過性を有意に保ち、BBSCB機能保護効果を示した。これら一連の結果は、我々が開発したハイスループットスクリーニングがBBSCB機能保護効果を持つ薬剤の絞り込みに有用であることを示唆しており、プロジェクトは順調に進捗していると考える。今後はさらなるスクリーニングによる候補薬剤の絞り込みと、実際にそれらの薬剤が動物実験において、神経保護効果を有するか確認していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
北大化合物ライブラリーに新たに加わった約1200化合物の1次スクリーニング、2次スクリーニングを終了させ、先に終わった結果と合わせて、ラット初代培養による3次スクリーニングを行う化合物を選定する。そして、マウス脊髄損傷モデル、脳外傷モデルを使用して、それらの化合物の実際のBBSCB機能保護効果を定量し、もっとも有効な化合物を確定したあと、脊髄損傷モデルでの神経保護効果、運動機能保護効果を評価する予定である。
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Causes of Carryover |
当初予定していた旅費を他の財源で賄うことができたため、次年度に繰り越した。その分を今年度に予定している国際学会発表に使用する予定である。
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