2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K10914
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
河村 太介 北海道大学, 大学病院, 助教 (00374372)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
角家 健 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任講師 (30374276)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 末梢神経 / 細胞移植 / 軸索再生 / シュワン細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は末梢神経再生に重要な役割を果たすシュワン細胞の多様性に注目したもので、その目的は、最も優れた軸索再生効果を持つシュワン細胞の亜型を同定し、その機能改善効果を明らかにすることである。平成29年度は、シュワン細胞の分化度に着目し、シュワン前駆細胞、未熟細胞、また2種の成熟細胞(修復細胞と非修復細胞)の軸索再生効果を、われわれが開発したラット坐骨神経の無細胞処理モデルを使用して、比較検討した。シュワン前駆細胞、未熟細胞、非修復細胞は、順に胎生14日、18日、生後10週のRFP発現同種ラットの坐骨神経から採取した。修復細胞は坐骨神経切断1週後に採取した。各細胞百万個を無細胞野に移植し、2週間後の坐骨神経矢状断切片に免疫染色を行い、軸索再生と移植細胞の生着、増殖能を評価した。各細胞は良好に生着し、前駆細胞、未熟細胞は高い増殖能を示していた。しかし、軸索再生効果をしめしたのは、成熟細胞の2種類のみで、修復細胞が最も優れていた。このことは、感覚神経細胞と各シュワン細胞の共培養を行い、神経突起長の長さを検討した場合でも同様であった。これらの結果をH30年度の末梢神経学会、国際幹細胞学会、日本整形外科基礎学術集会、アメリカ整形外科基礎学術集会などで報告する予定である。また、シュワン細胞の局在に着目し、運動神経、感覚神経を支持するシュワン細胞の、各神経軸索に対する再生効果を検討する予定であるが、各シュワン細胞の作成方法を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
軸索再生に至適なシュワン細胞の分化度が明らかになり、順調に解析がすすんでいる。これらの結果は平成30年度に開催される国内外の関連学会で報告予定である。また、未分化シュワン細胞が損傷軸索の再生促進効果をまったく有しないことが判明し、本研究プロジェクトの方向性を大きく決定付ける結果が得られたと考える。2つ目の目的である、シュワン細胞の局在による、軸索再生効果の違いの検討に関しても、細胞の調整、作成方法、評価方法を確立し、順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、昨年度で確立した手法を用いて、シュワン細胞の局在による軸索再生効果の違いを、in vivoとin vitroの両面から明らかにする。また、修復シュワン細胞の軸索再生効果の分子メカニズムを明らかにするため、トランスクリプトームによる解析を行う。これら一連の実験から、軸索再生に至適なシュワン細胞の詳細を明らかにした後、運動機能回復を目指した、至適シュワン細胞移植を行い、長期的な運動機能評価実験を行う予定である。
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Causes of Carryover |
予定していた実体顕微鏡の購入の必要がなくなった分を、本年度の国際学会発表参加の旅費にあてる予定である。
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