2018 Fiscal Year Research-status Report
新規治療の開発を目指したBach1の筋損傷抑制効果の解明
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17K10918
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
奥野 洋史 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (00572025)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五十嵐 和彦 東北大学, 医学系研究科, 教授 (00250738)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | Bach1 / 筋損傷 / 筋分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は野生型およびBach1ノックアウトマウスを用いて筋損傷への影響を解析したところ,Bach1ノックアウトマウスの筋は野生型マウスの筋と比較して,損傷後の再生能が低下していることが判明したため,平成30年度はBach1が筋細胞分化に及ぼす影響を検討するためにin vitroの実験を行った.1.増殖期にあるC2C12筋芽細胞のBach1をノックダウンさせると,筋芽細胞の増殖抑制が見られた.2.分化期にあるC2C12筋芽細胞では,Bach1のmRNA量および蛋白量が分化とともに増加した.3.Bach1をノックダウンしたC2C12細胞を分化誘導すると,コントロールに比べて筋管形成が抑制された.また,MHCのmRNAの発現量も低下した.また,筋分化決定因子の発現では分化早期のMyogeninやMyoDの発現低下がみられた.以上より,Bach1は筋芽細胞の早期筋分化に作用することが考えられた. 次にBach1の直接転写抑制因子であるHO1遺伝子(Hmox1)の発現制御について検討した.1.Bach1ノックダウンC2C12細胞は分化全過程においてHmox1の発現が増加した.2.WTの筋損傷後3日目の筋組織再生早期においてHmox1の発現が増加するが,Bach1ノックアウトマウスでは筋損傷後3日目のHmax1の発現を有意に増加させた.以上より,Bach1はHO1遺伝子の転写抑制を介して,筋細胞分化に関与することが考えられた. さらに筋の増殖,分化制御におけるBach1の機能を検討するため,分化開始後のBach1ノックダウンC2C12細胞およびコントロール細胞でDNAマイクロアレイによる網羅的解析を行った.Bach1ノックダウンによってMyod1,Myogの発現は有意に低下し,Myostatinの発現が最も上昇していた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
Bach1ノックダウンにより筋細胞の増殖・分化が抑制されることがin vivoおよびin vitroで判明し,その経路もHO1遺伝子を介する可能性があることが示された.また,マイクロアレイ法によりBach1ノックダウンにより関連する遺伝子が同定された.
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度はHO1阻害薬を投与することでBach1強制発現を模倣し,筋細胞の増殖や分化に与える影響を評価する.具体的にはin vitroで分化開始後のC2C12細胞にHO1阻害薬を添加し,C2C12細胞の変化を観察する.in vivoにおいてはマウスに筋損傷作成後にHO1阻害薬を投与し,筋再生への影響を検討する. また,DNAマイクロアレイ法により発現に変化を生じた遺伝子を解析し,筋細胞増殖・分化因子としてのBach1との関連を検討する.具体的にはBach1ノックダウンにより筋形成抑制因子であるMyostatinの発現が最も上昇していたため,Myostatinによる筋分化抑制経路に対するBach1の影響をin vivo, in vitroで検討する.
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Causes of Carryover |
今年度の予算622818円はすべて消耗品の購入や機器整備に当てる予定であったが,発注や機器整備の遅延により残金が生じた.次年度は今年度分の残金と合わせて,消耗品の購入,実験機器のメンテナンス,学会発表の旅費および論文の校正に用いる予定である.
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Research Products
(1 results)