2018 Fiscal Year Research-status Report
加齢に伴う終末糖化産物の蓄積が腰痛関連神経経路に及ぼす影響に関する臨床・基礎研究
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17K10923
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
折田 純久 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任准教授 (60638310)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 かづ代 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (30648069)
大鳥 精司 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (40361430)
稲毛 一秀 千葉大学, 大学院医学研究院, 助教 (80793629)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 終末糖化産物 AGEs / ペントシジン / 老化 / 運動器疼痛 / 骨粗鬆症 / 卵巣摘出 / 糖尿病 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、経皮AGE測定器(Diagnoptics社製AGE Reader mu ,測定原理Meerwaldt R, Diabetologia, 2004)を用いた臨床研究と、AGEsマーカーとして知られるペントシジンの組織への蓄積に関してラットを用いた基礎研究を行っている。 ・臨床研究:千葉大学医学部附属病院の整形外科外来にて、腰椎外来初診・手術前後患者に対し、経皮 AGE測定値の記録を行い、体組成計を用いた脂肪量・筋量、脊椎アライメントや臨床症状として既往歴、患者立脚型アウトカム評価法などの評価尺度との関連を検討している。現在600例ほどのデータが蓄積されたが、AGE測定値は年齢と相関し、糖尿病の有無、透析の有無、骨粗鬆症の有無に影響を及ぼす傾向を認めている。 ・基礎研究:ラット卵巣摘出(OVX)モデルにおいて疼痛閾値評価および坐骨神経の組織学的評価でこれらの機序について基礎的に検討した。雌性SDラットを用い,12週齢時に卵巣摘出を行ったOVX群(n=6)および開腹のみを行ったsham群(n=6)について評価を行った。具体的には処置後8週に各群においてVon Freyによる疼痛閾値評価を行った。また還流固定後に坐骨神経を摘出し局所におけるペントシジン染色を行い各群における陽性細胞の割合を検討した。 Von Freyによる疼痛閾値評価はOVX群ではSham群と比較し有意に低かった(P<0.05)。一方、坐骨神経局所におけるペントシジン染色ではOVX群ではSham群と比較し有意に陽性細胞数の割合が多かった(P<0.05)。これらのことは卵巣摘出がもたらす神経へのペントシジン沈着により疼痛閾値低下をもたらしている可能性を示唆するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
600症例にわたる臨床データを収集するためスタッフを含む外来でのマネジメントを要したが,おおよそのデータを収集できている.統計学的な解析や基準の設定などを多岐にわたって検証する必要があるため,複数の解析・結論を収集していく必要があることからやや時間を要しているが,臨床的なAGEの関連については概ね解析が進められていると考えられる.一方でペントシジンの沈着をメルクマールとして疼痛との関連を精査する場合,当初想定されていたよりも生活習慣病を含む多くの関連要素が想定され,交絡因子の抽出も含めたこれらの解析を進めて行く必要がある.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの臨床データの解析から,AGEは年齢による影響が優位であることが示唆された.併存疾患の中で強い関連があるのは糖尿病,血液透析の導入の有無,および骨粗鬆症であったため,これらの疾患を中心にAGE沈着による神経機能への影響を検討する.その中でAGEの具体的なカットオフ値を設定し,併存疾患の影響も含めて検討する.また,下肢しびれや若年にして症状のある集団を抽出しAGE蓄積と症状の関連をみることによってこれまで区分・定量化が困難であったAGEとの関連を図っていく. 基礎研究においては,ひきつづきラットOVXモデルにて骨粗鬆性疼痛との関連およびラット坐骨神経絞扼モデルでのペントシジン蓄積などを検討する予定である。
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Causes of Carryover |
基礎研究,および対象調査症例が年度をまたぐ形になったことから次年度使用が必要となった.次年度に使用予定:統計学的処理を中心とする解析費用,および基礎研究における動物購入費,および試薬・器具購入費など.また,今後の国際発表含む学術的発表に関わる旅費,および論文化に係る英文校正・出版費用など.
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