2017 Fiscal Year Research-status Report
脊髄損傷後の軸索再生におけるGAP-43の機能解明と新規脊髄保護療法の開発
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17K10926
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
渡邊 慶 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (40597671)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五十嵐 道弘 新潟大学, 医歯学系, 教授 (50193173)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 軸索再生 / GAP-43 / リン酸化 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウスGAP-43の172番目スレオニン(Thr172)のリン酸化(pT172)の機能を明らかにするため、GAP-43と相互作用する分子の候補を挙げることとした。Neuro2A細胞に、GAP-43の野生型(WT)あるいは非リン酸化型(Thr172をアラニン置換: T172A)を発現するプラスミドをそれぞれ別に導入、過剰発現させた。抗pT172-GAP-43抗体にて、WTのみpT172を認識することを確認した。GAP-43に対する抗体を用い免疫沈降し、それら沈降サンプルを、質量分析装置(Liquid Chromatography/Mass Spectrometry: LC/MS)を用いて解析、GAP-43と共沈降した分子を検出した。WTとT172Aとで比較し、GAP-43のpT172を介した相互作用分子候補としてJunction Plakoglobin (=γ-catenin)が挙げられた。 また、リン酸化に関わる相互作用分子として、脱リン酸化酵素Phosphataseの同定を試みた。阻害剤実験として、Neuro2A細胞にPP-1およびPP-2Aの阻害剤であるオカダ酸を、PP-2B(=Calcineurin)の阻害剤であるタクロリムス(=FK506)を添加し、ウエスタンブロットにてリン酸化の変化をみた。直接作用するPhosphataseを阻害すれば、リン酸化レベルの濃度依存的な上昇が観察されるが、いずれも十分な上昇は確認されず、責任Phosphataseは上記以外であることが示唆された。 抗pT172-GAP43抗体を用いて、マウス大脳皮質初代培養神経細胞で免疫細胞染色を行い、神経細胞の成長円錐でのpT172の存在が確認した。 C57BL/6Jマウスを用いて脊髄圧挫損傷モデル、坐骨神経損傷モデルを作成し、 GAP-43, GAP-43pT172の発現を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
マウスGAP-43の新規リン酸化部位として確認された96番目セリン(Ser96)、172番目スレオニン(Thr172)があり、当初リン酸化Ser96に対する抗pS96-GAP-43抗体を用いた神経軸索再生評価を予定していた。しかし、ヒトGAP-43ではThr172のみがThr181として保存されており、リン酸化Thr172(pT172)の機能解析を優先することにした。
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Strategy for Future Research Activity |
GAP-43とJunction Plakoglobinとの相互作用を証明するため、GAP-43をHEK293細胞で過剰発現させ、同蛋白に対する抗体で免疫沈降を行い、ウエスタンブロットにて、結合相手として想定しているJunction Plakoglobinを検出できるか検証する。更に、Neuro2A細胞にてGAP-43を過剰発現させずに内在性のGAP-43に対する免疫沈降を行い、同様にJunction Plakoglobinを検出することを試みる。 Neuro2A細胞、マウス大脳皮質初代培養神経細胞を用いて、抗GAP-43抗体と抗Junction Plakoglobin抗体を用いて免疫染色を行い、細胞内での共局在を確認する。 GAP43-T172Aノックインマウス(生化学教室にて胚作成し保存)より、大脳皮質初代培養神経細胞を採取し、軸索や成長円錐などの形態、Junction Plakoglobinの局在の差異を観察する。これらの局在、形態をWTマウスとT172Aノックインマウスとで比較し、機能的意義について検証する。 C57BL/6Jマウス(6-8週齢)を用い、脊髄損傷モデルに比べ評価が容易な末梢神経損傷モデルをまず作成し、損傷後1週、2週、4週でのGAP-43-pT172, Junction Plakoglobinの発現をウエスタンブロットにて確認、非損傷側との発現量を比較する。併せてGAP-43, GAP-43-pT172, Junction Plakoglobinを免疫組織染色する。行動学的実験による運動機能回復過程、疼痛を1回/週の評価を受傷後8週まで施行する(Basso mouse scale: BMS スコア , footprint analysis, 足底熱刺激装置プランターテスト)。
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Causes of Carryover |
次年度使用額(B-A)については、分生物学的実験に必要な消耗品費(試薬)として使用する予定。
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