2017 Fiscal Year Research-status Report
動物モデルを用いたストレスによる慢性腰痛発症機序の解明
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17K10938
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
川上 守 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (20195051)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 慢性腰痛 / 歩行解析 / 痛覚過敏 / コルチコステロン / 反復寒冷ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
ラット腰椎椎間関節切除を行い、椎間板組織に直接侵襲を加えない、椎間板変性モデルを作成し、寒冷反復ストレスを加え、経時的に痛覚過敏、疼痛関連行動を定量的に計測した。処置後、7-8週で、痛覚過敏ならびに腰痛モデルで報告されている歩行異常が、CatWalk法を用いた歩行解析で認められた。視床下部・下垂体・副腎軸の反応性を副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)およびコルチコステロンの分泌パターンをみるとこのモデルでは血中副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)およびコルチコステロンは低値であった。このモデルの腰髄後根神経節のDNA arrayの結果ではInflammatory response, G-protein coupled receptor, α6β4 Integrin signalのパスウェイに特異的な遺伝子が多く含まれていた。GalR1, 5-HT7, 5-HT4, GPR44は発現量が減少し、GPR84は増加していた。GalR1や5HT-7の投与はそれぞれ坐骨神経損傷やorofacial painに対し鎮痛効果を示し、5HT-4はノルアドレナリン系の下降性疼痛抑制系を賦活化させる報告がある。本モデルの疼痛発現には炎症とミエリン障害が関与し、GalR1, 5-HT7, 5HT-4の遺伝子発現の低下により、その程度が増幅が寄与している可能性を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ストレスの種類の違いによる検討がまだ行えていません。
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Strategy for Future Research Activity |
拘束ストレスと反復寒冷ストレスとの関係を明確にするとともにストレス解除が疼痛行動にどのように影響するかをこのモデルで検討する。腰椎椎間関節切除による椎間板変性モデルへのストレス負荷が腰椎そのものに影響しないかどうかをX線学的、組織学的に検討する。さらに各種薬物投与で、痛覚過敏、疼痛関連行動がどのように変化するかを観察し、ストレスと椎間板変性の両者に有効な薬物療法の組み合わせを検討する。
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Causes of Carryover |
今年度の研究結果はこれまでに採取していたサンプルの解析のため今年度の経費を使用することなく可能でした。
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