2017 Fiscal Year Research-status Report
運動器の加齢変性に伴う機能低下に対する酸化ストレス制御の有用性の検証
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17K10942
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
野尻 英俊 順天堂大学, 医学部, 准教授 (10317456)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 酸化ストレス / 運動器 / 変性 |
Outline of Annual Research Achievements |
順天堂大学医学部附属順天堂東京江東高齢者医療センター整形外科において腰痛や膝痛または下肢の筋力が弱くなることや腰の曲がりを自覚され歩行が不安定になったことを主訴として来院した患者を運動器の総合的評価、病態や病名の診断していくロコモ外来を開設した。ここでは骨粗鬆症や変形性膝関節症、変形性腰椎症や腰部脊柱管狭窄症、サルコペニアといった退行変化を評価し、その患者固有の改善すべき点、予防すべき点を診断、治療している。同時に、ここでは骨代謝マーカーを検査する際の採血で採血チューブ内に残存した血液を採取し酸化ストレス度、抗酸化能を測定した(当院倫理委員会で承認を受け、インフォームドコンセントのもと行われた)。現在、約100名のサンプルが集まっていて解析に移行中である。 さらに軟骨や椎間板に進行した変性を有する患者の人工関節置換術や脊椎固定術の際に破棄する軟骨・椎間板を採取した。変性と酸化ストレスの関係を調べるために組織中のスーパーオキシド発生量とその解毒触媒酵素であるSOD活性を測定した。スーパーオキシドは採取した組織の凍結切片をスーパーオキシド特異的蛍光試薬であるdihydroethidium(DHE)で染色し蛍光強度を測定した。その後組織をホモジナイズしSOD活性キットを用いてSOD活性を測定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度のサンプルの採取において外来採血で約100、手術検体において約20集められた。これは目標数としては計画通りであり、今後解析できるレベルに達したと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
外来採血検体は通常の骨代謝マーカーのほかにMDA(脂質酸化マーカー)、SOD活性(内因性抗酸化酵素)、Catalase活性(内因性抗酸化酵素)、GPx活性(内因性抗酸化酵素)を測定する。姿勢、脊椎アライメント、後弯・側弯の程度、椎間変性の進行度、椎体骨折の有無を、両下肢立位2方向の単純レントゲン検査では下肢アライメント、変形性膝関節症の進行度、変形性股関節症の進行度を評価する。また全身DXA(全身、腰椎正面、大腿骨近位部)では骨量、骨格筋量、脂肪量を計測する。さらに筋力測定(握力と脚力)、総合的な運動機能評価として運動能力測定(タイム・アップ・ゴー テスト、6m歩行時間測定、開眼片脚立ち時間)し、酸化ストレスや抗酸化能力との相関をみる。 手術検体測定結果からは局所組織における酸化ストレス度、SOD活性と組織変性進行度との関連性を見出す。 SOD活性を高める効果があると期待される天然メロン抽出物GliSODinの臨床効果を検証すベく、GliSODin(n=20)またはプラセボ(n=20)の2群に分ける2重盲検試験を行う。6ヶ月投与(500mg(6粒)/日)におけるGliSODinのSOD活性や抗酸化能に対する効果、酸化ストレス度の変化、SOD活性化による運動機能、QOLの変化を調査する。
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[Presentation] The relationship between locomotive syndrome and oxidative stress; Cross-sectional study of 66 patients with locomotive symptoms.2017
Author(s)
Banno S, Nojiri H, Koike M, Miyagawa K, Iwase Y, Kurosawa H, Kaneko K
Organizer
Cell Symposia, Gothenburg, Sweden, May 21-23, 2017
Int'l Joint Research