2019 Fiscal Year Research-status Report
運動器の加齢変性に伴う機能低下に対する酸化ストレス制御の有用性の検証
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17K10942
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
野尻 英俊 順天堂大学, 医学部, 准教授 (10317456)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 運動器 / 酸化ストレス / GliSODin / サプリメント |
Outline of Annual Research Achievements |
膝や腰に違和感ないしは痛みのある50~79歳の女性を対象に2重盲検無作為試験としてGliSODin内服群ないしはプラセボ内服群に割り付け、6か月間内服し、自覚症状の改善効果については、Chalder 疲労尺度、JKOM、JOABPEQ、RDQ、ODIで評価した。運動機能として握力、下肢進展トルク、ロコモ度テスト(ロコモ25、立ち上がりテスト、2ステップテスト)、6分間歩行、Time Up and Go testを評価した。酸化マーカーは血清dROMs、血清MDA、血漿ぺントシジンで評価し、抗酸化マーカーは血清SOD、血清GPx、血清BAPで評価した。炎症性サイトカイン関連マーカーとしては、hsCRP、IL6、TNFa、MMP3を評価した。また骨粗鬆症マーカーとしてP1NP、TRACP5b、OC、ucOCを評価した。体組成(体脂肪率、脂肪量、非脂肪量)についてはDEXA法で評価した。 GliSODin内服前後における自覚症状の変化については、Chalder 疲労尺度、JKOM、JOABPEQ(心理的障害)、RDQにおいて有意に改善を認めた。運動機能については握力、下肢伸展トルク、ロコモ度テスト(ロコモ25、立ち上がりテスト、2ステップテスト)、6分間歩行、TUGはいずれも有意な差を認めなかった。酸化マーカー、抗酸化マーカーについてはプラセボ内服群、GliSODin内服群のいずれの群においても内服前後で有意な差は認められなかった。炎症関連マーカーであるhsCRP、IL6、MMP3は内服前後で有意な差を認めなかったものの、TNFαはGliSODin内服群において内服前後で有意に低下を認めた。骨粗鬆症マーカーはP1NP、ucOCが有意に増加を認め、TRACP5bに有意な差を認めなかった。体組成についてはGliSODin群において体脂肪率は有意に減少していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2重盲検無作為試験の参加者を厳密に登録したため時間を要した。参加者は50~79歳の女性とした。喫煙歴のある方、糖尿病がある方、循環器疾患、脳血管疾患に対して抗凝固薬、抗血小板薬を内服中の方、腰や膝に金属ないしは人工関節がすでに入っている方、骨粗鬆症の治療を内服あるいは注射で行なっている方、膝に対してヒアルロン酸注射を行なっている方、サプリメントを1か月以内に服用している方を除外した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は試験の後半までに院内Wifiを利用するタブレットを作製し、情報収集システムを構築することで効率的に患者立脚型の質問票を集め、最終的にはその結果を論文にまとめる予定である。
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Causes of Carryover |
情報収集システム構築、試験の解析が次年度にまたがったため支払いが完了できなかった。理由としてはシステムの改良、バージョンアップに大幅に時間を要したこと、サンプル数が多く解析に時間がかかったことがあげられる。
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