2019 Fiscal Year Research-status Report
損傷脊髄における移植間葉系骨髄幹細胞のホーミングと運動療法との併用効果の検討
Project/Area Number |
17K10943
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
平泉 裕 昭和大学, 医学部, 客員教授 (10255870)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大滝 博和 昭和大学, 医学部, 准教授 (20349062)
渡邊 潤 昭和大学, 大学共同利用機関等の部局等, 兼任講師 (50649069) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 脊髄損傷 / ヒト間葉系幹細胞 / ケモカイン / 神経再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
脊髄損傷に対するヒト骨髄間葉系幹・前駆細胞(hMSCs)の有用性が基礎や臨床試験により明らかになってきた。hMSCs は移植後、損傷部位へ遊走(ホーミング)すると示唆されているが、その分子細胞間機構は不明である。さらに、脊髄損傷後の治療法であるリハビリテーションとの相互作用も十分に理解されていない。そのため、当該研究は次の3点の疑問の解決を目的に行うために計画された。1)hMSCsはどのように損傷部位へホーミングするのか?2)hMSCs のホーミングは脊髄損傷の抑制に必須か?3)hMSCs の脊髄損傷抑制と運動療法の併用は機能回復に有用か?これらの解決のため、これまで脊髄損傷動物の作成を行い,脊髄損傷後におけるマクロファージ・マイクログリア等の食細胞の遊走にかかわりが深いとされるケモカインとそのレセプターの脊髄における遺伝子発現の変動を調べてきた。脊髄損傷後に増加したこれらケモカインの中で急性期に増加するCCL2と慢性期に増加するCCL5に着目しMSCsによるそれらケモカインの修飾と脊髄損傷の関係を調べた.その結果,両ケモカインともにMSCsの移植により有意に増加した.しかし,CCL2のレセプターを発現する顆粒球の増加は認められず,炎症性因子の遺伝子発現は低下した.さらに,CCL5レセプターの遺伝子発現が認められるマクロファージ・マイクログリアのマーカー遺伝子やM2型の極性化マーカーが増加し,神経の軸索伸長にかかわる因子の増加が認められた.この結果,MSCs投与後に増加するケモカインと脊髄損傷の悪化とは関係が認められずむしろ急性期は炎症の抑制,慢性期は神経再生が示唆された.今後はそのケモカインの増加と炎症抑制と神経再生に寄与しているか,またマクロファージ・マイクログリアがどのように修飾するか調べる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MSCsが神経損傷抑制に寄与することは我々の研究を含め多くの論文で明らかとなっている.しかし,ケモカインの神経損傷時の役割は未だ議論が多い.特に本研究においてMSCsを移植した際,CCL2やCCL5が増加するが炎症は抑制され神経再生は促進される結果を得た.
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Strategy for Future Research Activity |
MSCsはCCL5が増加するタイミングにおいてほとんど組織中から消失している.しかし,神経再生が示唆された.今後はCCL5が神経再生に寄与するのかまたマイクログリア/マクロファージの極性化がどの様に寄与するのかを明らかにする.
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Causes of Carryover |
論文を作成および審査中であり,それに伴う追加実験の可能性と年度内に出版できる見込みのために,年度末ギリギリまで予算を残しておく必要性があったため.
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Research Products
(29 results)