2020 Fiscal Year Research-status Report
損傷脊髄における移植間葉系骨髄幹細胞のホーミングと運動療法との併用効果の検討
Project/Area Number |
17K10943
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
平泉 裕 昭和大学, 医学部, 客員教授 (10255870)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大滝 博和 昭和大学, 医学部, 准教授 (20349062)
渡邊 潤 昭和大学, 大学共同利用機関等の部局等, 兼任講師 (50649069) [Withdrawn]
吉川 輝 昭和大学, 医学部, 助教 (90737355)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 脊髄損傷 / 骨髄間葉系幹細胞 / マクロファージ / ケモカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
脊髄損傷に対するヒト骨髄間葉系幹・前駆細胞(hMSCs)の有用性が基礎や臨床試験により明らかになってきた。hMSCs は移植後、損傷部位へ遊走(ホーミング)すると示唆されているが、その分子細胞間機構は不明である。さらに、脊髄損傷後の治療法であるリハビリテーションとの相互作用も十分に理解されていない。そのため、当該研究は次の3点の疑問の解決を目的に行うために計画された。1)hMSCsはどのように損傷部位へホーミングするのか?2)hMSCs のホーミングは脊髄損傷の抑制に必須か?3)hMSCs の脊髄損傷抑制と運動療法の併用は機能回復に有用か?これらの解決のため、これまで脊髄損傷動物の作成を行い,脊髄損傷後におけるマクロファージ・マイクログリア等の食細胞の遊走にかかわりが深いとされるケモカインとそのレセプターの脊髄における遺伝子発現の変動を調べてきた。脊髄損傷後に増加したこれらケモカインの中で急性期に増加するCCL2と慢性期に増加するCCL5が関与していることを示した。 当該年度はそのケモカインに誘導される細胞がマクロファージかマイクログリアについて検討した。これらを区別するために近年,マイクログリアにのみ発現すると報告されたtmem119の局在を調べた。tmem119遺伝子は,大脳皮質,海馬,小脳および脊髄で強く発現していたが,組織局在マクロファージの存在する肺,肝臓,脾臓などでは発現が非常に低かった。一方,脳の組織切片でIba1と多重染色を行ったところ脳内のIba1陽性細胞はtmem119を発現していたが脳室やリンパ節でのIba1もしくはCD68陽性細胞はtmem119を発現していなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度は新型コロナウイルス感染症対策のために臨床および教育にかかるエフォートが例年より多くなり研究の遂行が難しかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年の実績により中枢神経のマイクログリアとマクロファージの染め分けが可能になった。さらにクロドロン酸リポソームを用いて末梢マクロファージの除去を試みている。これらのマーカーや方法を用い浸潤してくるマクロファージと組織局在性マクロファージ(マイクログリア)の役割を明らかにする。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の対応のために研究へのエフォートが減少したことと,予定されていた学会等の参加ができなかったため。
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