2018 Fiscal Year Research-status Report
椎間板変性におけるIL-17の役割の解析と新規IL-17活性阻害剤の探索
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17K10946
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
隅山 香織 東海大学, 医学部, 准教授 (20433914)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 大輔 東海大学, 医学部, 准教授 (10408007)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | インターロイキン17 / 低分子化合物 / 椎間板 |
Outline of Annual Research Achievements |
IL-17A/IL-17A受容体複合体の立体構造をX線解析して、受容体結合部分に結合可能な化合物の立体構造を予測し、さらにその予測された構造の受容体との結合シミュレーションをコンピューター上で行なった。これらにより得られた情報を用いてIL-17A結合阻害剤として適した化合物、すなわち候補化合物を低分子化合物データベースの中から探索し、4種類の低分子化合物;STK630921(STK), PB203263256(PB), Z92151850(Z9251), P2000N-53454(P2000)をIL-17A結合阻害剤候補化合物として評価した。 これら4種類のIL-17A結合阻害剤候補化合物それぞれ50μg/mlを、IL-17A50ng/mlと共にラット椎間板髄核細胞(NP細胞)に投与し評価した。その結果、これら4つのIL-17A阻害剤候補化合物の全てが、前年度までの評価においてIL-17A投与24時間後に上昇したIL-6, COX2, MMP-3,MMP-13のmRNA発現を有意に抑制すことを確認した(n=3~5,p<0.05)。また、IL-17A阻害剤候補化合物群の内で最も結合親和性の高いSTK630921(STK)50μg/mlをIL-17A50ng/mlと共にNP細胞に投与すると、24時間培養後のIL-6とCOX2のタンパク質発現がIL-17A単独投与群と比較して有意に抑制されることを確認した(n=3,p<0.05)。 次にアルシアンブルー染色を用いて、細胞外基質の主体成分であるグリコサミノグリカン産生量を評価した。IL-17A50ng/ml単独投与下で8日間培養したラットNP細胞群では、グリコサミノグリカン産生が無処置群と比較して有意な減少を呈したが、STK50μg/mlとIL-17Aを共に投与した群では有意な改善を示した(n=3,p<0.05)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度は、我々がインシリコスクリーニングを用いて医薬品データーベースから選出した複数のIL-17A阻害剤候補化合物群の、髄核細胞に対する効果を評価した。その結果、これらの候補化合物全てが、髄核細胞に対するIL-17Aの作用を抑制する効果を有することを確認できた。 また、昨年度評価した候補化合物STK630921は、今年度さらなる評価を行った結果、昨年度の評価項目以外のタンパク質や細胞外基質産生に対しても効果を有することを確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までの結果を基に以下の点を中心に研究を行う。 ①ヒト椎間板細胞に対するIL-17A阻害剤候補化合物の作用評価:ヒト椎間板髄核細胞に対し、昨年度選出したIL-17A阻害剤候補化合物群を投与して、細胞内シグナル因子やサイトカインの発現等を評価する。 ②椎間板変性動物モデルに対するIL-17A阻害剤候補化合物の作用評価:ラット椎間板変性モデルを作製し、昨年度選出したIL-17A阻害剤候補化合物群の中で最も好成績であったSTK630921を投与してその作用を評価する。 ③IL-17A阻害剤の新規誘導体化合物の開発:これまで得られた結果を基に、IL-17A阻害剤候補化合物STK630921の化学構造の最適化を行い、より高い効果が期待される新規化合物、即ち新規誘導体化合物の分子構造をin silico創薬にて設計し、合成する。この新規誘導体化合物を培養椎間板細胞に投与し、細胞内シグナル因子の発現、細胞外基質の変化、サイトカインの発現等を評価し、より実用化に近い化合物の開発を目指す。
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Causes of Carryover |
培養細胞を用いたIL-17A阻害剤候補化合物群の評価の際、予想よりも短い投与期間、及び少ない容量で効果があることを確認できたため、平成30年度の本助成金を全額使用せずに研究を遂行することが可能であった。平成31年度の実験に前年度からの繰越金も使用する
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Research Products
(5 results)