2018 Fiscal Year Research-status Report
加齢に伴う脊椎変性の進行抑制に関わる因子の分子生物学的研究
Project/Area Number |
17K10952
|
Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
中村 英一郎 産業医科大学, 医学部, 准教授 (10412644)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 椎間板変性 / Hedgehog / Smoothened / 骨棘 / 骨・軟骨代謝学 / Sonidegib / Cre |
Outline of Annual Research Achievements |
加齢に伴い生じる脊椎・椎間板変性は腰痛や脊柱管狭窄、脊柱変形など脊椎疾患の主な原因と考えられている。しかし、脊椎・椎間板変性過程でどのような因子が関与するのか未解明な部分が多い。そこで髄核に発現するSonic hedgehog(Shh)と椎体終板に発現するIndian hedgehog (Ihh)の双方のHedgehogシグナル伝達に関与する膜蛋白のSmoothened (Smo)を生後に欠失させた(cKO群: Rosa Cre-ER(T);Smof/f))マウスを作成し、両側の椎間関節を切除した椎間板変性促進モデルにて検討したところ、control群と比べ椎間板変性が有意に抑制される結果を得た。 そこで平成29年度では、変性のメカニズムにHedgehogがどのように関わっているのか組織切片を作成し免疫染色等で検討したところ、control群の変性した椎間板には終板軟骨細胞の肥大化とVEGFならびにCD31の発現がみられたが、cKO群では軟骨細胞の肥大化は有意に抑制されVEGFならびにCD31の発現は見られなかった。 平成30年度では、椎間関節切除手術後にSmoの阻害薬であるSonidegib (Erismodegib, NVP-LDE225)を週3回腹腔内注射し椎間板変性の抑制が起こるか否か確認した。結果、control群と比較して椎間板高の低下は有意に抑制され、組織学的にも椎間板変性は抑制されていた。 また、Shhのみを生後に欠失させるため、Rosa Cre-ER(T);Shh f/fを交配、作成し同様の椎間板変性モデルにてShh単独の機能を検討中であり、また、組織特異的に髄核のみでSmoを欠失させた場合にはどうなるのかを確認するため、Shh Cre-ER(T);Smo f/fを作成し解析中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
椎間板変性促進モデルにおいて、Smoothenedの阻害薬を腹腔内投与したところ、smoothenedのcKOマウスで得られた椎間板変性抑制結果と同様の椎間板変性の抑制効果を得られた。
|
Strategy for Future Research Activity |
Smoothenedの阻害薬Sonidegibを腹腔内投与したところ、smoothenedのcKOマウスで得られた椎間板変性抑制結果と同様の椎間板変性の抑制効果が得られた。Sonidegibは局所進行基底細胞癌の治療薬として米国のFDAにすでに承認されている薬物である。本研究での結果は、がん治療のみならず変性疾患に対する治療薬にもなり得る可能性も秘めており、現在、Sonidegibによる変性抑制メカニズムや他臓器への影響など詳細に解析中である。
|
Research Products
(1 results)