2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K10968
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
新倉 隆宏 神戸大学, 医学研究科, 講師 (40448171)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大江 啓介 神戸大学, 医学部附属病院, その他 (20514623)
福井 友章 神戸大学, 医学部附属病院, 医員 (50437688)
李 相亮 昭和大学, 医学部, 講師 (40533732)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 骨再生 / 炭酸ガス / 骨延長 |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景】骨延長術は有用で確立された骨再生療法であるが、長い治療期間を必要とすることが欠点である。我々はこれまでに、炭酸ガス経皮吸収により血流増加、血管新生、軟骨内骨化促進を介して骨折治癒が加速されるという知見を得ている。 【目的】平成29年度の研究目的は骨延長術に炭酸ガス経皮吸収を応用することで骨再生を促進できるという仮説を検証することである。 【方法】24週齢のウサギを用いた動物実験を行った。片側脛骨に創外固定器を装着して骨幹部で骨切りを行い、1週間の待機期間を置いた後、1日1mm、計10mmの骨延長を行った。患側下肢に炭酸ガス経皮吸収促進効果を有するハイドロジェルを塗布し炭酸ガスを経皮吸収させた。手術翌日より、1日20分間、週5日間の経皮吸収を骨延長完了後4週まで行った。経皮吸収を行った炭酸ガス群と行わなかった対照群でX線学的評価および組織学的評価を行った。骨延長完了時及び完了後1週毎に骨延長部の単純X線写真を撮影して骨形成を定性的に評価するとともに、画像解析ソフトを用いて骨形成の程度を定量化した。延長完了後4 週で延長部を含む下腿骨の凍結組織切片を作成した。ヘマトキシリン-エオジン、ファストグリーン、サフラニンO染色を行い、光学顕微鏡で観察した。 【結果】X線学的評価では炭酸ガス群でより旺盛な仮骨形成が観察され、炭酸ガス群では骨延長後2週、4週で延長部の pixel value が対象群に比して有意に高値であった。組織学的評価では、炭酸ガス群において対照群より厚い骨梁構造が観察された。対照群では延長部中央に軟骨組織の残存を認めたが、炭酸ガス群には認めなかった。すなわち、炭酸ガス群においては軟骨内骨化が加速されていた。 【考察】炭酸ガス経皮吸収は、骨延長術の治療期間を短縮する有用な新規骨再生促進法となることが期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の研究目的、つまり炭酸ガス経皮吸収は骨延長術による骨再生を促進するという仮説を検証することが、おおむね順調に進展している。これをX線学的、組織学的評価にて証明することができた。ただし、より詳細な検討はまだ完了していない。すなわち、マイクロCTを用いて骨延長によって再生された骨の骨密度を始めとする骨パラメーターの測定、さらに再生骨の強度測定は進行中であるが、もうしばらくの研究継続を要する状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
マイクロCTを用いて骨延長によって再生された骨の骨密度を始めとする骨パラメーターの測定、さらに再生骨の強度測定を早急に実施、完了させる予定である。これが完了後、当初の予定通り、低出力超音波パルス、骨形成因子に我々の炭酸ガス経皮吸収療法を組み合わせることでより骨再生・骨折治癒を促進できるという仮説を検証する研究を進めていく。平成30年度には主に、骨折治癒促進効果のある低出力超音波パルスに炭酸ガス経皮吸収を組み合わせることで骨再生に相加・相乗効果が得られるかどうかを検証する動物実験を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
マイクロCTを用いて骨延長によって再生された骨の骨密度を始めとする骨パラメーターの測定、さらに再生骨の強度測定がまだ完了していないため、次年度使用額が生じた。次年度早々に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)