2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K10975
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
寺内 竜 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (20575154)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白井 寿治 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20397186)
新井 祐志 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50347449)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 骨肉腫 / プリスチメリン / アポトーシス / 天然有機化合物 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,天然有機化合物由来の抗がん剤が注目を集めており,実際に軟部肉腫において実用化もされている. プリスチメリン(以下PM) は,植物から抽出されたトリテルペン類化合物であり,いくつかのがん腫に対して,抗腫瘍効果を有することが報告されている.本研究では,ヒト骨肉腫細胞に対するPMの抗腫瘍効果を評価した. In vitroでは,ヒト骨肉腫細胞である143B,MNNGの2株を使用し,正常細胞への影響を評価するためヒト正常骨芽細胞NHOstを使用した.至適濃度のPMを各細胞に投与し,投与24,48,72時間後の増殖抑制効果,50%阻害濃度,アポトーシス誘導効果(AnnexinV-PI assay, caspase-3,8,9活性の変化)を評価した.腫瘍増殖に関連するAkt, mTOR, NF-κBの発現変化をwestern blotting法で確認した.In vivoでは,骨肉腫皮下移植マウスを作製し,1mg/kgのPMを1日毎に腹腔内投与し,腫瘍体積を隔日で2週間測定した.PMのマウスに与える影響を評価するため,PM投与14日後に血液中の肝酵素・腎機能を評価した. PMは濃度・時間依存性に骨肉腫細胞の増殖を抑制した.正常骨芽細胞に対してはPMの増殖抑制効果は低かった.PMの投与により,アポトーシス陽性細胞が増加し,caspase-3,8,9活性の上昇を認めた.リン酸化Akt, mTOR, NF-κBの発現量は低下した.In vivoにおいて,PM投与群は腫瘍の増大を有意に抑制し,肝酵素・腎機能は正常値であった.以上の結果からPMはヒト骨肉腫細胞に対して抗腫瘍効果を有することが明らかとなった.PMは,Akt, mTOR経路を抑制することでアポトーシスを誘導するものと考えた.PMは骨肉腫に対する新規治療薬となる可能性がある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現時点で,in vitro、in vivoとも骨肉腫におけるプリスチメリンの抗腫瘍効果を明らかにできている. さらに,正常骨芽細胞への影響が少なく,in vivoにおいても肝・腎機能への影響がないことを明らかにした点で,プリスチメリンは臨床応用できる可能性を秘めた薬剤であると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後,骨肉腫細胞だけではなく,その他軟部腫瘍細胞株に対してもプリスチメリンの抗腫瘍効果を検討する予定である. また,臨床応用にむけてin vivo投与時におけるプリスチメリンの血中濃度やより安全で効果的な投与スケジュールを検討し,臨床応用へのデーターを蓄積する予定である.
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