2018 Fiscal Year Research-status Report
ダイレクト・リプログラミング法で作成した骨芽細胞を用いた低侵襲的骨再生治療の開発
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17K10976
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
谷口 大吾 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員講師 (00642092)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸田 綱郎 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00370205)
小田 良 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (80516469)
藤原 浩芳 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員講師 (90381962)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 再生医療 / 骨 / 細胞移植 |
Outline of Annual Research Achievements |
われわれは先行研究にてダイレクト・リプログラミング法を用いてヒト皮膚線維芽細胞(HDF)に特定の遺伝子を導入して骨芽細胞様細胞を作製し、動物への直接移植実験により生体内において骨形成能を示したことを報告した。 本研究では上記の細胞をより低侵襲に投与する方法を検討している。われわれは間葉系幹細胞のもつ遊走能に着目し、上記の細胞に遊走能を追加で獲得させる実験を施行している。以下に本実験の2018年度の進達を記す。 HDFに特定の遺伝子をレトロウイルスベクターを使用して導入し、さらにケモカイン受容体遺伝子(CXCR4)を導入した。作製した細胞は、in vitroでは骨形成能を示し、免疫染色およびフローサイトメトリーにてCXCR4受容体蛋白発現を確認した。また膜通貨型のin vitro細胞遊走アッセイでもSDF-1に対する遊走を確認した。 次に生体内での細胞の動態を確認するため、免疫不全マウスの左大腿骨骨欠損モデルを作製(手術を施行)し、通常のHDFおよびCXCR4のみを導入したHDFをマウスに腹腔内投与した。投与した細胞には事前にDiRで染色を施し、in vivo imaging system(IVIS)で骨欠損部への集積を評価した。IVISにてHDFおよびCXCR4発現HDFともに投与後24時間程度での骨欠損部への集積を確認した。μCTでは、コントロールであるHDF投与群よりも、CXCR4陽性HDF投与群の方が骨欠損部での骨形成が進んでいる傾向がみられた。骨形成能を獲得させていないCXCR4陽性HDFでも骨形成が促進された傾向があり、これだけでもレシピエントの間葉系細胞による骨形成の足場となった可能性も示唆される。 今後は、投与経路の違いによる集積のスピードや細胞数の差や、転写因子を導入した細胞の投与で骨形成能を示すのかどうか検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
in vitroでは遊走能および骨分化能を有する細胞を作製済みであったが、マウスの骨欠損モデル作製にあたり、その手技の煩雑さから術中の骨折や、耐術能の低さによる術中死などが多く存在した。また個体のばらつきが大きく、細胞投与していないマウスでは骨形成がおおきく遅れる個体が存在した。手術手技の向上により、術中の合併症を減少させ、また骨欠損作製時にドリルで骨に熱を与えないように手技を工夫することでマウスモデルの質を確立した。 現在は、予備実験としてCXCR4陽性のHDFを作成し、マウス骨欠損モデルに対する投与実験を施行しているが、生体内の細胞の集積についてはIVISの他に免疫染色などを検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
予備実験用の細胞を生体内に投与し、組織免疫染色で集積部位の偏在の有無を評価している。 これらの結果を確認後、遊走能および骨分化能を有するHDFの投与実験を行い、同様の方法で生体内での動態のほか、骨家性能をμCTによる体積計算やヒトオステオカルシンによる免疫染色、ALP染色で評価する予定である。
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Causes of Carryover |
今年度当初、教室で保有していた免疫不全マウスは予備実験に使用する個体は自家繁殖で補っていたが、近親交配や繁殖力低下にともなって頭数が不足し、マウス骨欠損モデル作製および細胞投与実験などの予備実験施行が困難であった。 新規に免疫不全マウスの購入が必要となり、μCTや組織検査の費用から計算してマウスの新規購入のため前倒し申請を行ったが、その後急遽当教室にて別財源からも費用調達が可能となった。また、交配による個体数確保も現時点では順調であるため、追加購入の必要がなくなり、次年度使用額が生じた。
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