2018 Fiscal Year Research-status Report
障害骨組織における再生遺伝子Regの発現動態の解析および骨再生促進法の開発
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17K10980
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
藤間 保晶 奈良県立医科大学, 医学部, 研究員 (60448777)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朴木 寛弥 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (40336863)
田中 康仁 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (30316070)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | Reg遺伝子 / 組織再生 / 骨再生 / 骨膜 / 人工骨 / 骨切り術 / 骨修復 |
Outline of Annual Research Achievements |
『骨組織に対する再生遺伝子Regの発現』の検証を初年度の研究結果から、急性炎症を惹起する骨折モデルをラットにて作成し、同モデルにて骨折部にReg遺伝子が発現することを見出した。次に局在を求めるべく骨折モデルの各組織からmRNAを抽出して検討した。その結果、Reg mRNA遺伝子は骨膜組織にて著明に発現していた。更にその発現をReg遺伝子family全般について分析し、経時間的に検討した。Reg,RegⅣ,Pap1,Pap2,Pap3全てのmRNAの発現は骨折直後から骨癒合進行期に顕著に上昇し、以後、骨癒合が終了に近づくにつれ減少することが判明した。 in vivo での研究から、再生遺伝子Regの発現メカニズムについて、in vitroで検討を開始した。検討にはin vivo studyでの結果に基づき、骨膜組織を採取、培養により獲得した培養骨膜由来間葉系細胞を用いた。細胞レベルでの急性炎症モデルには先行論文に基づき、IL-6の培地への添加で行った。培養骨膜由来間葉系細胞をIL-6を添加した培地で培養した骨膜細胞を検討するとReg mRNAが発現していることが追認された。更にIL-6の添加による骨膜細胞のReg遺伝子の発現の動態が影響を与えている因子、相関している因子について、細胞増殖、細胞分化の観点から検討を進めた。検討はReg遺伝子のknockout遺伝子siRNAを用いることで解析した。その結果、細胞増殖には影響が有意に存在することが認められた。この細胞増殖が細胞増殖のサイクルの促進によるものか、apoptosisに関与するものかを各種mRNAの発現で分析したところ、apoptosisを抑制する遺伝子Bimとの相関が見出された。 一方、障害骨の臨床的探求として下肢機能再建・関節温存骨切り術での骨癒合、骨再生、人工骨の研究を開始し、人工骨の効率的手術技術について開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
Reg遺伝子の発現を運動器、特に且つて特許技術を取得した先行研究や人工骨の研究から、骨組織に見出すことを目標としたが、そのtargetとなる組織が骨膜組織にあることが確定され、in vivo事象のみならず、in vitroでのReg遺伝子の発現が関与する因子にまで踏み込んだ探求が進み、骨修復・骨再生に関与する因子として細胞死を抑制する遺伝子の発現が見出された。 また、臨床医学においても、障害骨モデルとして、骨修復・骨再生さらには人工骨を用いた検討のできる関節温存骨切り術をターゲットとしての検討も進んだ。そして、人工骨を用いた骨修復における促進技術の開発にも到達し、その技術の論文化も行っている。以上から、基礎研究、臨床研究の両面から進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
骨膜細胞のReg遺伝子の発現の動態が影響を与えている因子、相関している因子について、細胞増殖に加え、細胞分化の観点から検討を進める。検討はReg遺伝子のknockout遺伝子siRNAを用いることで解析し、各種分化因子の遺伝子発現を検討する。また細胞増殖についても細胞増殖のサイクル、細胞死について検討を進める。 一方、臨床医学上、骨切り手術における人工骨の効率的使用方法の開発のみならず、骨切りという骨膜、骨組織の急性炎症を伴う本手術の骨癒合の問題事象を調査し、それに対する対応方法を基礎研究に見出し、結びつけ、検討し、本基礎研究の臨床への応用を検討する。
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Causes of Carryover |
今年度はmRNAの測定試薬およびRNA回収キット、解析機器、データ分析機器を既存のもので対応したこともあり、また、国際学会での発表が3回あったものの、近隣の国であったことから残金が生じた。本年度は論文作成および学会での報告活動、臨床研究データの集積や他施設研究者との共同meetingの開催を考えると、予定通りの支出計画になると判断する。
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