2018 Fiscal Year Research-status Report
CD271陽性骨髄幹細胞の軟骨再生能および抗炎症作用の基礎的研究
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17K11001
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
宮崎 剛 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 講師 (80324169)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 脂肪幹細胞 / 関節内投与 / 抗炎症効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】Mono-Iodoacetate(MIA)を用いた関節症動物モデルに対してprocessed lipoaspirate cell (PLA cell)の関節内投与を行い、膝関節軟骨の組織学的変化および後根神経節における抗炎症・疼痛関連因子の免疫組織学的変化を検討した。 【方法】10週齢のSDラット(n=90)の膝関節にMIA 2mg/0.5mlと逆行性トレーサーを投与し、関節炎動物モデルを作成した。MIA注入後7日目(早期注入群)、14日目(進行期注入群)に同種脂肪細胞よりプラスチック接着法で分離培養したPLA cellを膝関節内に注射器を用いて直接投与した。MIA投与後7,14,21,28日でラットの灌流固定を行い、関節軟骨は肉眼的関節軟骨スコアを用いて評価し、合わせて組織学的評価も行った。疼痛評価は後根神経節におけるSubstance P、CGRPの免疫染色による陽性細胞割合で検討した。また局所炎症評価は膝関節滑膜のATF-3の発現を評価した。 【結果】関節軟骨スコアは、MIA投与後28日ではコントロール群が4.9、進行期投与群が4.3であったのに対し、早期投与群では1.5と良好であり、PLA cellによる軟骨保護効果を早期投与群においてのみ認めた。後根神経節におけるSubstance P、CGRPの陽性細胞割合は、PLA cellを投与した両群で有意に低下していた。また膝関節滑膜のATF-3発現も同様に低下していた。 【考察・結論】今回の結果からPLA cellは関節症動物モデルに対して、早期からの投与で関節軟骨保護効果を示したが、進行期に関節内投与を行っても軟骨保護効果は示さなかった。しかし抗炎症効果、除痛効果は早期および進行期で認められ、進行した変形性関節症に対してもPLA cellの関節内投与は抗炎症、疼痛抑制という点で有用であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最終的にCD271陽性細胞を用いての実験は本年度に繰り越されているが、実験自体は概ね順調に進展している。また共同研究を行っているAston University のラボチームにおいて、2019年2月に、CD271で良好な軟骨再生が得られるとした論文を共著者の1人として発表している。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には当初予定していたスケジュール通りに実験を進めていくが、次年度への実験につながるよう発展性を持たせて追加実験等を行っていきたい。
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Causes of Carryover |
補助事業の誠実な執行に努めた結果、当初計画より経費の使用が節約できたことにより未使用額が生じた。
当該未使用額を次年度に持ち越して追加の試薬・抗体・消耗品等購入する。
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