2018 Fiscal Year Research-status Report
高分子量熱ショックタンパク質による骨代謝制御の分子基盤に関する研究
Project/Area Number |
17K11002
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
徳田 治彦 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 非常勤講師 (10397325)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小澤 修 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 教授 (90225417)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 骨芽細胞 / ストレスタンパク質 / 遊走細胞 / HSP70 / IGF-I / MAPキナーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
種々のストレスに対する生体反応をストレス反応と呼んでおり、外的環境の変化に対し生体は迅速に反応する。ストレス蛋白質 (heat shock protein; HSP) は、熱や化学物質などのストレスにより誘導される一群のタンパク質の総称で、分子量が70kDaのHSP70や90kDaのHSP90など高分子量ストレス蛋白質と、分子量が10-30kDaのHSP27、HSP20などが低分子量ストレス蛋白質として大別されている。HSPは、分子シャペロンとして機能すると考えられている。HSP70は非刺激状態の細胞においても恒常的に発現している。またHSP70は、癌や自己免疫疾患などの疾患の病態に関与していることが報告されているが、骨芽細胞における詳細な役割はいまだ明らかでない。骨は破骨細胞による骨吸収とそれに引き続く骨芽細胞による骨形成によって骨リモデリングは絶えず活発に行われている。骨レモデリングにおいて骨吸収部位への骨芽細胞の遊走は必須であり、骨折時の骨修においても遊走は重要であると考えられている。しかし、骨芽細胞の遊走の調節機序の詳細は未だ明らかとされていない。Insulin-like growth factor-I (IGF-I) は骨基質中に貯蔵されており、破骨細胞による骨吸収により遊離、活性化される骨形成促進因子である。本研究では、骨芽細胞様MC3T3-E1細胞においてIGF-I刺激による細胞の遊走におけるHSP70の役割を検討した。骨芽細胞において高分子量ストレスタンパク質の一つであるHSP70がIGF-Iによる細胞遊走能をp44/p42 MAPキナーゼを介し、促進的に制御していることを明らかとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
骨芽細胞においてHSP70がIGF-Iによる細胞遊走を、促進的に制御していることを明らかとした。加えて細胞内情報伝達機構に関してHSP70はIGF-Iによる骨芽細胞の遊走において、p44/p42 MAP キナーゼの上流で機能していることを明らかとした。今回の結果から、HSP70が骨リモデリングや骨折の治癒過程において、IGF-Iによる骨芽細胞の遊走能の調節因子として重要な役割を担っていることが示唆された。この結果から、高分子量ストレスタンパク質の一つであるHSP70が骨粗鬆症などの代謝性疾患への新たな治療ターゲットとなる可能性を示唆することが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
種々の刺激因子による骨芽細胞の遊走における高分子量ストレス蛋白質、HSP70およびHSP90の役割を検討する。骨芽細胞において、骨代謝調節因子であるインターロイキン-6の産生、および血管内皮細胞の特異的増殖因子であるvascular endothelial growth factorの産生における高分子量ストレス蛋白質、HSP70およびHSP90の役割を検討する。
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