2017 Fiscal Year Research-status Report
転移性骨腫瘍の骨リモデリングに対する炭酸ガス療法の効果について
Project/Area Number |
17K11006
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
原 仁美 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (40437489)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河本 旭哉 神戸大学, 医学研究科, 特命講師 (30420558)
深瀬 直政 神戸大学, 医学部附属病院, その他 (60579324)
秋末 敏宏 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (90379363)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 炭酸ガス療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
炭酸ガス経皮吸収は炭酸ガスを経皮的に組織へ吸収させ、低酸素環境の改善を図る治療法である。がん骨転移における骨破壊進行にも低酸素環境が寄与している。本研究は、乳癌骨転移モデルマウスを用いて炭酸ガス経皮吸収の骨転移モデルに対する有効性を検討することである。 ヒト乳癌細胞株MDA-MB-231をマウスの脛骨に移植し、乳癌骨転移モデルマウスを作製した。マウスをcontrol群(空気)とCO2群(100% CO2)の2群に分け、治療は1回10分、週2回、2週間行った。経時的に腫瘍体積と体重変化を計測した。治療前後にマイクロCTを撮影して移植部位での骨量計測を行い、骨量の変化を比較検討した。治療終了後に脛骨を摘出し、HE染色による形態評価、HIF-1α、RANKL、溶骨性因子(IL-1β、IL-6、IL-8)の発現につき免疫染色にて評価した。破骨細胞活性についてTRAP染色を用いて比較検討した。 結果、細胞移植部において、CO2群ではcontrol群と比較し、腫瘍体積の増大と骨破壊の進行が有意に抑制されていた。体重に両群間で有意差を認めなかった。組織学的にもCO2群で骨破壊は抑制されており、HIF-1αの免疫染色では発現が低下していた。RANKLや溶骨性因子の発現についてもCO2群で低下していた。TRAP染色でも、CO2群で有意にTRAP陽性細胞の低下を認めた。 以上の結果から、炭酸ガス経皮吸収による低酸素環境の改善が、腫瘍細胞が産生するRANKLや溶骨性因子の発現の抑制を介し、破骨細胞の誘導を抑制することで、骨転移モデルの骨破壊が抑制される可能性が示唆され、本治療法が乳癌骨転移に対して新たな治療法となる可能性があると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
In vivo 実験として、作成した乳癌骨転移モデルマウスを用いて経皮的炭酸ガス投与群とコントロール群で比較検討し、骨形態学的、質的評価、病理学的評価、分子生物学的評価を行うことがH29年度の研究計画であった。おおむね計画通りに結果が出せていると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
In vitro 実験として、vivo 実験で用いた乳癌細胞株MDA-MB-231 を用い、低酸素環境下培養による解析を行う。また、破骨細胞を低酸素環境下培養しその分化と骨吸収能を調べる。計画書通り、in vitroでの解析を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
予定していたよりも物品費がかからずに実験を進めることができた。次年度はさらに研究計画を進める予定であり、さらにその成果について学会報告や論文投稿を行うことになるため、合わせて助成金を使用する。
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Research Products
(4 results)