2018 Fiscal Year Research-status Report
転移性骨腫瘍の骨リモデリングに対する炭酸ガス療法の効果について
Project/Area Number |
17K11006
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
原 仁美 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (40437489)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河本 旭哉 神戸大学, 医学研究科, 特命講師 (30420558)
深瀬 直政 神戸大学, 医学部附属病院, 医員 (60579324) [Withdrawn]
秋末 敏宏 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (90379363)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 経皮的炭酸ガス治療 / 転移性骨腫瘍 / 乳がん |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの我々の研究結果において、乳癌骨転移モデルマウスを用いて経皮的炭酸ガス投与を行ったところ、骨破壊の進行が抑制された。本研究ではその骨破壊抑制メカニズムをさらに明らかにすることを目的とし、転移性骨腫瘍に対する新たな治療法として、経皮的炭酸ガス療法を確立することを目指す。乳癌骨転移モデルマウスを作成し、経皮的炭酸ガス治療群とコントロール群で骨転移部の骨形態学的、質的評価を行い、摘出した組織で病理組織学的、分子生物学的に低酸素環境の評価、骨吸収および骨リモデリングの評価を行うことを計画した。今年度は、乳癌骨転移モデルマウスを作成して、経皮的炭酸ガス治療群で腫瘍の増大が抑制されていたことを腫瘍サイズ、マイクロCT画像で確認した。治療後のヌードマウスから脛骨を摘出し、病理標本の作成と、病巣部の組織採取を行い、HE染色にて病理学的に骨破壊の評価を行った。さらにHIF-1α免疫染色を行い、骨転移部の低酸素環境の評価しTRAP染色にて破骨細胞による骨吸収の評価を行った。RANKL, IL-1β, IL-6, IL-8の骨リモデリング関連因子の免疫染色を行いそれらの発現を調べた。これらの発現に関しても骨転移部でIL-1β, IL-6, IL-8の発現が治療群で低下しており、破骨細胞を介した骨吸収が経皮的炭酸ガス治療によって抑制されていることが証明された。本年度に行ったin vivoの実験系の結果と、昨年までのin vitroの結果を合わせて、研究成果について論文に投稿した。Takemori T et al. ONCOLOGY REPORTS 40: 2079-2087, 2018
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ計画通りに研究計画を進めることができ、結果について論文報告を出来たことから、研究の成果を発信できたと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究は、乳癌骨転移モデルにおける経皮炭酸ガス治療の効果を調べることであった。研究の成果を踏まえてさらに他のがん腫においても同様の効果が得られるのか、異なるがん腫の骨転移モデルを作成して研究計画を進めていく。がん腫による効果の違いが認められた場合にはその原因を追究していくことで骨転移の病態についての新たな発見が期待できる。我々の過去の経皮炭酸ガス治療の研究成果を合わせて、実臨床につなげていきたい。骨転移は一般的に脊椎発生が多いが、経皮炭酸ガス治療を体幹に行うことは現時点では困難である。そのために、具体的な臨床研究として、四肢骨発生のがん骨転移症例に対する経皮炭酸ガス治療の効果を調べる計画を検討する。四肢の経皮炭酸ガス治療は過去の研究において安全性が確立されているため治療効果についてさらなる臨床研究を進めていく方針である。
|
Causes of Carryover |
研究は概ね順調に進んでいるが、PCR等の研究において、少し計画との時間的相違を生じたため、次年度使用額が生じた。 翌年度、引き続き試薬の購入や骨粗鬆症ラットの作成・骨折の治癒の評価等の研究を継続する予定である。
|
Research Products
(4 results)