2017 Fiscal Year Research-status Report
リジン脱アシル化酵素SIRT7による骨代謝制御機構の解明
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17K11014
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
吉澤 達也 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 准教授 (40313530)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | サーチュイン / 骨芽細胞 / Osterix |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、新たな骨代謝制御因子としてのSIRT7の分子機構の解明を行っている。平成29年度は以下の研究を実施した。 1)SIRT7の分子酵素学的解析: 12種類のアシル基をリジン残基に導入したペプチドを合成し、リコンビナントSIRT7タンパク質を用いてin vitro酵素反応を行い、質量分析にて脱アシル化されたペプチドとO-Acyl-ADPrを検出することにより、脱アシル化活性を測定した結果、SIRT7は中長鎖脂肪酸由来のアシル基を取り除く活性が非常に強いことを発見した。 2)Osterixの転写活性化機構の解析: OsterixのC末端側に存在する10個のリジン残基をそれぞれアルギニンに置換した点変異体を作成し、転写活性化能をルシフェラーゼアッセイにより解析した結果、SIRT7によるOsterixの転写活性化には368番目のリジン残基が重要であることが明らかとなった。 3)骨芽細胞特異的Sirt7 KOマウスの解析:骨芽細胞特異的Sirt7 KOマウスの骨形態計測を行った結果、骨芽細胞のSIRT7は、骨芽細胞の分化、そして骨形成に重要であることがin vivoで明らかとなった。 4)破骨細胞形成におけるSIRT7の役割について(当初、平成30年度に実施予定):Sirt7 KOマウスでは破骨細胞の増加も認められたが、Sirt7 KOマウスの骨髄由来単球・マクロファージを用いたin vitro破骨細胞形成実験では、野生型との間に顕著な差を見出せなかった。また、骨芽細胞特異的Sirt7 KOマウスの骨形態計測により、破骨細胞数の変化は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成29年度に予定していた研究はすべて実施し、一定の成果を得られた。さらに平成30年度に予定していた研究の半分も行った。現在は、これらの成果をまとめて論文に投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
1)SIRT7の分子酵素学的解析:現在、我々が発見したSIRT7の新規脱アシル化酵素活性の標的である中鎖脂肪酸由来アシル化リジン残基に特異的な抗体の作製を行なっており、今後は、この抗体を用いて骨芽細胞における中鎖脂肪酸由来アシル化修飾タンパク質の取得を行う。 2)間葉系幹細胞におけるSIRT7の役割について:Sirt7 KOマウス(P3)の頭頂骨由来間葉系細胞を用いた骨芽細胞分化実験の際、SIRT7が無いと脂肪細胞への分化が著しく増加することが判明した。そこでまずは、Sirt7 KOマウス由来の骨髄間葉系幹細胞を用いて、骨芽細胞と脂肪細胞への分化のスイッチングについて解析する。分子機構の解明として、a)間葉系幹細胞内のSIRT7の標的タンパク質をアフィニティーカラムにより網羅的に取得、b)SIRT7による脱アシル化反応の解析、などを行っていく。
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Causes of Carryover |
次年度に、現在投稿中論文の高額な論文掲載料を支払う予定のため、一部を繰り越した。 今年度に入り、昨年度繰越分はすでに物品費として使用済みであり、適正に使用できている。
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Research Products
(4 results)