2021 Fiscal Year Research-status Report
骨・軟骨に発現するコラーゲン分子群の骨格形成作用機序の解明と組織再生への応用
Project/Area Number |
17K11015
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
松尾 哲孝 大分大学, 医学部, 准教授 (10284788)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 隆子 大分大学, 医学部, 客員研究員 (30133193)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | コラーゲン / 骨 / 軟骨 / 転写 |
Outline of Annual Research Achievements |
線維性コラーゲン分子は、高分子会合体を形成し、骨および軟骨組織に機械的強度や柔軟性を与えている。これらコラーゲン分子は、組織発生や細胞分化などを厳密に制御しており、適切な細胞外環境が破壊されることにより、骨格形成の異常が引き起こされる。そこで本研究では、線維性コラーゲン分子群の骨格形成に関与する役割について検討した。 1)XI/XXVII型コラーゲン遺伝子の軟骨特異的発現調節機構の検討。XI/XXVII型コラーゲン遺伝子内に見出した、軟骨特異的エンハンサー領域の生体内での発現調節機構を明らかにするために、遺伝子改変マウスを作製し、その発現パターンを解析する。更に、XI型コラーゲン遺伝子において、軟骨特異的エンハンサー領域の近傍に、この領域に相互作用する可能性のあるサイレンサー領域を見出した。そこで、相互作用するサイレンサー領域に関与する抑制因子と結合領域を明らかにするために、ルシフェラーゼアッセイを試みた。 2)V/XXIV型コラーゲン遺伝子の骨特異的発現調節機構の検討。転写因子Sp7は、骨形成に重要な役割を果たしている事が知られているが、このSp7がV型コラーゲン遺伝子の基本プロモーター領域に関与していることを見出した。そこで、Sp7の強制発現およびノックダウンベクターを用いて、骨組織における発現調節機構を解析した。 3)non-cording RNAによる線維性コラーゲン発現調節機構の解析。mirRNAが、骨芽細胞におけるV型コラーゲン遺伝子の発現を抑制していることを見出した。そこで、その調節機構について、ルシフェラーゼアッセイにより検討すると共に、V型コラーゲン遺伝子プロモーター領域内に作用するlong non-coding RNAの関与についても検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1)XI/XXVII型コラーゲン遺伝子の軟骨特異的発現調節機構の検討。 軟骨特異的エンハンサー領域の発現調節機構について、検討を重ねているが、明らかな結果が得られていない。更に、相互作用すると思われるサイレンサー領域は同定できたので、この領域に関与する因子を検索し同定するために、複数のサイレンサー配列を繋いだコンストラクトを作製し、複数の細胞を用いてスクリーニングを行っている。 2)V/XXIV型コラーゲン遺伝子の骨特異的発現調節機構の検討。 転写因子Sp7の強制発現およびノックダウンコンストラクトを作製し、エレクトロポレーション法により骨芽細胞に導入して発現調節機構の解析を行っている。現在、活性の上昇は再現よく認められており、現在そのメカニズムについて検討中である。 3)non-cording RNAによる線維性コラーゲン発現調節機構の解析。 複数の骨芽細胞を用いて、組織特異的に発現するlong non-coding RNAの検索を引き続き検索している状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
1)XI/XXVII型コラーゲン遺伝子の軟骨特異的発現調節機構の検討。 軟骨特異的エンハンサー領域の発現調節機構について、別の軟骨細胞を用いながら引き続き検討を加える。更に、サイレンサー領域に相互作用する因子についても、条件を変えて検討する。 2)V/XXIV型コラーゲン遺伝子の骨特異的発現調節機構の検討。 Sp7の強制発現およびノックダウンコンストラクトの遺伝子導入実験を、複数の骨芽細胞を用いて行い、引き続き骨組織における発現調節機能の検討を加える。 3)non-cording RNAによる線維性コラーゲン発現調節機構の解析。 複数の骨芽細胞を用いることで、網羅的にスクリーニングを行い、多方面からの因子の同定を検討する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響で、実験の進行が遅れていた。そこで、消耗品等の購入は、研究の進行に並行して購入することが有効と考え、計画を再延長すると共に、予算を繰り越して使用する事とした。
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