2018 Fiscal Year Research-status Report
FEMシミュレーションによる日本人大腿骨の疾患及び年齢に伴う応力形態に関する研究
Project/Area Number |
17K11016
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
加来 信広 大分大学, 医学部, 准教授 (10315335)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津村 弘 大分大学, 医学部, 教授 (30188627)
田畑 知法 大分大学, 医学部, 客員研究員 (80769406)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | FEM / 大腿骨 / 応力 / 形態 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年高齢化に伴って大腿骨近位部骨折が増加している。これら高齢者骨疾患の発生機序においては、骨質低下による骨脆弱化と皮質骨菲薄化による髄腔拡大化が骨力学強度低下の大きな要因とされているが、骨密度や骨形状の変化が大腿骨の生理学的荷重伝達に与える影響は未だ不明瞭である。この発生機序を定量的に評価するためには、患者別骨密度を考慮した骨強度解析が必要である。本研究では骨量ファントムを併用して撮影されるCT像から患者別骨密度反映モデルを作成し、それを有限要素解析にて使用することで患者別の大腿骨荷重伝達と骨力学強度を測定し、骨密度や骨形状が大腿骨荷重伝達に及ぼす影響を定量的に評価することが目的である。更に本研究は日本人骨形態の特徴を考慮したアジア人向け人工股関節の開発にフィードバックされる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
骨塩定量ファントムを用いて下記疾患群の腰から足底部までのCT断層像をスライス間隔0.5mmにて取得し、CT取得目標症例数は各疾患(A変形性股関節症、B変形性膝関節症、C大腿骨頭壊死症、D大腿骨近位部骨折)で15症例であり、合計60症例の撮影を行った。取得された60症例のCT断層像に対して、骨形状と髄腔内の基礎パラメータを計測し、各疾患別に骨形状を定量化した。加えて、性別や年齢による違いを分析した。大腿骨弯曲が大腿骨近位部へ解剖学的な位置変化を来していることが判明した。以上のような、形態に関わるこれまでの結果については、日本人の大腿骨の形状の特徴として、近々、学会で発表する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
骨密度を反映させた大腿骨の三次元有限要素モデルを構築する。骨頭に対して歩行時の荷重条件にて荷重負荷を行い、大腿骨の応力分布と骨強度との関係を明らかにするとともに、疾患別に差異を医学的視点、工学的視点から評価する。特に、大腿骨弯曲の違いによる大腿骨近位部へ応力変化をシミュレーションによる計測を行い、大腿骨近位部骨折のメカニズムの一端を研究する。更に大腿骨弯曲の違いによる大腿骨遠位膝関節面の応力の違いについても調査する予定である。
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