2020 Fiscal Year Research-status Report
コラーゲン由来生理活性ペプチドの軟骨分化調節メカニズムの解明
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17K11025
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Research Institution | Josai University |
Principal Investigator |
中谷 祥恵 城西大学, 薬学部, 助教 (20453425)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | コラーゲン加水分解物 / 間葉系幹細胞 / プロリルヒドロキシプロリン |
Outline of Annual Research Achievements |
POが間葉系幹細胞の骨細胞への分化を促進させるメカニズムを明らかにするために、DNA microarrayを用いて分化調節に関わる標的遺伝子の網羅的解析を行った。DNAマイクロアレイを用いて骨、脂肪細胞分化関連遺伝子の探索を行った結果、階層的クラスター解析より、遺伝子発現のパターンが分化誘導剤の種類ごとにN群、骨群、脂肪群、骨・脂肪両分化群の4つのグループに分類された。次に、骨分化誘導群のクラスターに着目し、遺伝子発現がNより1.5倍増加したCに対してPOで1.25倍増加し、ネガティブコントロールで1.25倍減少している遺伝子を抽出し解析した結果、骨分化に関わる160種類の遺伝子が確認できた。また、抽出した160個の遺伝子の中から、骨格系の発生に関与している遺伝子の相互関係を検索した結果、骨形成たんぱく質であるBMP2とBMPアンタゴニストであるGrem2が大きく変動した。骨格系の発生に関与している遺伝子の発現において、BMP2アンタゴニストであるGrem2でも発現が増加したことからBMP2と相互にフィードバックしている可能性が示唆された。そこで、RT-PCRを用いてPOがGrem2のmRNA発現レベルに与える影響を検討した。POはどの誘導条件においてもGrem2のmRNA発現レベルを減少させた。このことから、DNA microarrayの遺伝子発現におけるGrem2の発現の増加はBMP2が増加したことによるフィードバックが関係していることが示唆された。また、POは短期培養したBMSCの骨分化誘導においてGrem2のmRNA発現レベルを減少させたことから、骨分化初期にGrem2の発現を抑制することにより、BMP2の発現を増加させ骨分化を促進させることが示唆された。今後、脂肪分化誘導や骨・脂肪両分化誘導の発現に関与している分化関連遺伝子も解析して探索を行う必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度は新型コロナ感染症の流行に伴うオンライン授業の対応や、小学校や保育園の休校措置などに伴って研究できる時間が大幅に減少したため。
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Strategy for Future Research Activity |
DNAマイクロアレイ解析を元に、POが間葉系幹細胞の骨分化を促進させるメカニズムを明らかにする。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症に伴う研究活動の制限、オンライン講義の対応および子供の休校による研究時間の削減から研究が予定通り進まず、予算の執行ができませんでした。
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