2017 Fiscal Year Research-status Report
骨格筋間質幹細胞群を接着剤として利用した筋腱骨複合体の再生治療研究
Project/Area Number |
17K11027
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
内山 善康 東海大学, 医学部, 准教授 (80317784)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | アキレス腱断裂 / 骨格筋間質幹細胞シートペレット / GFP陽性 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はマウス(C57BL/6)アキレス腱断裂モデルを作成し、骨格筋間質幹細胞シートペレットの有用性を検討した。2つのアキレス腱断裂モデル(切離縫合モデルと切離モデル)を作成(各8匹)し、GFP-TGマウスから抽出した骨格筋間質幹細胞シートペレット(1x105個)を移植した群と切離群のアキレス腱断裂部の修復状況を確認した。断裂縫合群モデルでは全ての例で縫合部が再断裂をきたしており、モデルとして不十分と考えた。したがって断裂修復モデルとしてはアキレス腱切離モデルにて評価することとした。 アキレス腱切離モデルの細胞移植群と細胞非移植群を移植後4週と8週にて評価した(各2匹)。蛍光実態顕微鏡においてGFP陽性移植細胞は移植後4週、8週ともに連続性を認めアキレス腱実質部は太く再生し、GFP陽性組織として着床していた。しかし細胞非移植群では連続性を認めるものの腱組織は細くなっていた。さらに新鮮凍結組織切片における免疫蛍光染色(抗CD31、N200)により、神経軸索数(N200陽性)、血管数(CD31陽性)は非移植群に比べ移植群で優位に高値であった。これは骨格筋間質幹細胞シートペレットが損傷腱周囲の血管や神経を活発に再生した結果、腱実質の再生に大きく関与したしたものと考えている。したがって骨格筋間質幹細胞は腱損傷部をより良好に再建してくれる生物学的接着剤(bio-bond)として使用できる可能性が示唆された。 今後はアキレス腱切離モデルを利用しサンプル数を増やし、腱の電子顕微鏡的構造や可能であれば破断強度も計測したいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、アキレス腱断裂モデルを切離縫合モデルで考えていたが、予備実験にて縫合モデルは全てのケースで再断裂をきたしていた。そこで縫合+関節ギプス固定も予備実験で行ったが十分な固定を得ることができず、再断裂にいたってしまった。そこでモデルを断裂モデル(足底筋腱のみ温存)としたことで安定したモデルを作成することができた。したがって評価するために十分耐えうるモデルを作成することに時間がかかってしまい、当初の予定より若干遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は再度アキレス腱断裂モデルを作成し、骨格筋間質幹細胞シートペレット移植の有効性を判断したい。移植した細胞が腱再生にとって生体内でどの程度貢献しているのかをGFP陽性細胞としてマクロスコピックに評価し、さらに、凍結組織切片を作成し蛍光顕微鏡を用いて免疫組織化学的検索を行う予定である。また腱再生に十分な効果が期待できれば、当初予定していたマウス腱板断裂モデルについても検索する。
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Causes of Carryover |
使用マウスやラットさらに抗体の購入とサンプル切片作成のための外注を行う予定である。また動物飼育のための補助員も検討している。
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