2018 Fiscal Year Research-status Report
遺伝子改変動物によるオキシトシン疼痛・炎症関連下行系の可視化・定量化の試み
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17K11039
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
鈴木 仁士 産業医科大学, 医学部, 助教 (80644880)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 陽一 産業医科大学, 医学部, 教授 (10232745)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | オキシトシン / 単量体赤色蛍光 / トランスジェニックラット / 坐骨神経部分結紮 / in-situハイブリダイゼーション |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、成熟雄性オキシトシン(OXT)-単量体赤色蛍光タンパク1(mRFP1)トランスジェニックラットを用いて右側坐骨神経を部分結紮し、複合性局所疼痛症候群(CRPS)モデルを作成した。無処置群と偽手術群を対照群とし処置後7日に断頭した。その際に得られた血液を回収し血中OXT濃度を測定したが、各群間で有意差は認めなかった。さらに断頭後、速やかに脳を摘出しクリオスタットを用いて、脊髄と脳幹の自律神経調整過程を統合する自律神経中枢である視床下部の視索上核(SON)ならびに室傍核(PVN)を含む厚さ12μmの薄切脳切片を作成した。この脳切片を用いて、in-situハイブリダイゼーション法により視床下部におけるOXT mRNAの発現レベルを定量評価した。その結果、坐骨神経部分結紮群で対照群と比較し、OXT mRNA発現レベルが有意に高値を示した。 さらに中枢神経の脊髄後角において神経障害が惹起されていることを確認するため、アストロサイトの活性化の指標としてGFAPを、ミクログリア活性化の指標としてIba-1を、それぞれ免疫組織化学的染色法で緑色に発色させ、手術側のL5神経後角を評価した。いずれも術後7日、14日で脊髄後角Ⅰ- Ⅱ層におけるGFAPとIba-1の発現が上昇していることが示された。 平成29年度と30年度に得られたこれらの結果をまとめ、第40回日本疼痛学会で発表した。さらに、英文雑誌であるNeuroscienceに投稿し、平成31年2月にアクセプトされ、3月に発刊された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度と30年度の実験から得られた結果をまとめた論文が英文誌にアクセプトされたため。
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Strategy for Future Research Activity |
OXT-mRFP1トランスジェニックラットを用いたCRPSモデルが電気生理学的実験に有用か否かを検討する。有用であればCRPSモデルの視床下部OXTニューロンをRFPを指標に同定しながらパッチクランプ法を用いてsEPSCやsIPSCの記録を行い、神経障害性疼痛によるOXTニューロンの可塑性を評価する。
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Research Products
(7 results)