2018 Fiscal Year Research-status Report
骨代謝調節因子による肥満・エネルギー代謝調節の制御とその病態生理学的意義
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17K11041
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
日野 純 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 室長 (40260351)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮里 幹也 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 部長 (50291183)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | CNP / 肥満・糖尿病 / NASHインスリン抵抗性 / 血管内皮細胞 / 脂肪細胞 / 炎症 / 線維化 / 代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
私達は、骨組織から骨芽細胞分化抑制因子としてBone morphogenetic protein-3b(BMP-3b)を発見したが、最近、新規作用として脂肪細胞分化抑制作用や抗肥満・エネルギー消費亢進作用を明らかにした。これは、BMP-3b が骨代謝と肥満・エネルギー代謝の両方を制御する新たな因子であることを示す。 一方、C 型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)は、骨組織に存在する骨伸長促進因子である。私達はCNP の受容体が脂肪細胞に豊富に存在することを見出し、CNP がBMP-3b と同様に、脂肪細胞で作用し肥満やエネルギー代謝に作用していることを予想した。そこで、本課題では、骨代謝調節因子CNP の肥満・エネルギー代謝調節作用における機能解析を目的とする。 本年度は、昨年度から継続しているCNPの過剰発現マウスによる検討を行った。具体的には、肥満において中心的な役割を果たしている脂肪組織とCNPの有する血管内皮保護機能に着目し、脂肪細胞や血管内皮細胞特異的にCNPを過剰発現するマウス(A- or E-CNP-Tg)による検討である。肥満・糖尿病モデル病態において、予想通り、いずれのCNP-Tgにおいても、抗肥満作用(脂肪細胞肥大化抑制、抗炎症、インスリン抵抗性改善)やエネルギー亢進作用を示した。更に、肥満・糖尿病の合併症の一つとも言われる非アルコール性脂肪肝炎(NASH)における作用も調べた。肥満・糖尿病性NASHモデルにおいて、E-CNP-Tgは肝臓組織の線維化や炎症の抑制に加えインスリン抵抗性の改善作用を示し、血管内皮細胞由来CNPのNASH改善作用が明らかとなった。現在、作用の検証の為、異なるNASHモデルでの検討、更には、その作用機序解明の為、培養細胞系による解析研究を進めている
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通りに、A-CNP-Tg, E-CNP-Tgの2種類のCNP過剰発現マウスによる検討を実施し、肥満・糖尿病モデルやそれに起因する非アルコール性脂肪肝炎(NASH)における改善作用も示した。
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Strategy for Future Research Activity |
概ね、計画したペースで私達の仮説と一致した結果が得られているので、計画書に沿った形での多角的なアプローチによる作用の検証やそのメカニズム解明に取り組む。
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Causes of Carryover |
昨年度が初年度であり、確実な成果を取得するため条件検討実験を多く計画していたが、予想より少ない実験項目で達成できたことと、現研究室に所有の消耗品等の活用したため。上記の理由のため、計画は予定通りに進める。
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Research Products
(5 results)