2017 Fiscal Year Research-status Report
成熟型延髄呼吸中枢におけるノシセプチンの役割と責任部位の解明
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17K11042
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
瀧田 恒一 北海道大学, 大学病院, 講師 (80261311)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 呼吸中枢 / 呼吸リズム形成 / ノシセプチン |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、ノシセプチンの呼吸中枢における役割解明のための成熟型呼吸中枢解析モデルとしてPaton (Neurosci Meth. 65, 63,1996)の方法によるラットworking heart brainstem preparation の確立を目指した。I.①実験装置の作成灌流システムの作成:灌流バス(自作)、フィルター装置(自作)、恒温槽、ペリスタポンプ(3台)、灌流液リザーバー(自作)、循環回路を組み合わせ、25-30ml/分、31-33℃で標本を灌流する再循環システムを完成させた。②記録システムの作成:吸引電極、記録収集システム(Power Lab 2/26、ADInstruments、平成29年度購入)からなる記録システムを完成させた。ノイズの除去に苦慮したが、空気トラップによるものと判明し解決した。この他、標本作成のための麻酔システム、解剖台を作った。II.標本の作製、記録:生後3週齢のWistarラットから3%セボフルラン麻酔下に除脳し、ラットを半切し、下行大動脈に挿入したカニューレより95%酸素5%二酸化炭素でバブリングした灌流液で灌流を行った。カニューレサイズは22Gより太いものは挿入困難であり、24G、挿入長は5-7㎜が妥当と結論された。また、灌流液はPatonらの文献によるもので問題ないと思われたが、ピトレシン2nMを添加することが、好ましいと考えられた。除脳レベルは、延髄―橋の境界レベルでは、呼吸活動は見られなかった。四丘体上端での除脳が必要と考えられるが、適切な除脳レベルについては、現在検討中である。上記システムにより呼吸活動(上気道筋、肋間筋から)は、目視、肋間筋からの筋電図により確認されたが、横隔神経からの吸引電極から呼吸関連の電気活動記録については、現在記録手技の向上に努めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成29年度は、ラットworking heart brainstem preparation からの横隔神経活動電位の長時間安定した細胞外電位記録の確立を目指したが、安定した長時間記録を得るところまでは、技術的に至らなかった。当初は、本年度中にノシセプチンを灌流液に投与しその作用を見るところまで予定していたが、前述の理由により、進捗状況としては当初予定より遅延している。
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Strategy for Future Research Activity |
継続して3-7週齢ラットのworking heart brainstem preparation から横隔神経活動電位の長時間安定した細胞外電位記録のため手技向上に努める予定である。もし、吸引電極からの横隔神経電位の記録が困難であった場合は、肋間筋からの筋電図の記録により呼吸活動を評価することも考えている。標本自体の呼吸活動は目視、筋電図で確認できているため、本標本によるノシセプチンの呼吸中枢解析は可能と考える。標本からの記録確立後は、(1)ノシセプチン作動薬、拮抗薬の灌流液投与、脳幹内局所投与による呼吸リズムの変化 (2)細胞内電位記録法によるノシセプチンの脳幹呼吸関連ニューロン活動に及ぼす影響 (3)細胞内電位記録と免疫組織化学法あるいはin situ hybridization法を組み合わせることにより、ノシセプチン受容体の脳幹内局在同定についての実験を行い、ノシセプチンの成熟型呼吸中枢での役割、その責任部位を明らかにする予定である。
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Causes of Carryover |
経費の節約により生じた未使用額30,091円については、次年度の成熟型延髄呼吸中枢におけるノシセプチンの役割と責任部位の解明のための、ラットworking heart brainstem preparation作成のための動物(生後3-7週Wistarラット)の購入に使用する。
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