2017 Fiscal Year Research-status Report
麻酔薬が脳代謝に与える影響からみた脳保護作用の分子基盤
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17K11046
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
田辺 久美子 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (30402209)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯田 宏樹 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 教授 (30159561)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | アストロサイト / 神経炎症 / 中枢神経保護 / サイトカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
Transforming growth factor (TGF)-βは神経栄養因子のひとつであり、炎症性サイトカインの抑制を介して中枢神経保護作用を示すとされている。しかし一方で炎症性サイトカインであるInterleukin (IL)-6の遊離を促進することも報告されている。そこで、 TGF-βが培養アストロサイトC8D1A細胞からIL-6の遊離を促進する機序を検討した。 その結果1)TGF-βはIL-6の遊離を濃度、時間依存性に促進した。2) TGF-βによるIL-6の遊離はSmad3の阻害薬であるSIS3によって有意に抑制された。近年TGF-βの細胞内情報伝達経路としてSmad以外の経路が報告されており、small GTPasesの関与を検討した。3)TGF-βによるIL-6の遊離はRho-kinase阻害薬(fasudil、Y27632)、Rac阻害薬(NSC23766)によって促進された。4) RhoAあるいはRacのdownregulationによってTGF-βによるIL-6の遊離は有意に促進された。5)TGF-βによるSmad2のリン酸化にはRho-kinase阻害薬、rac阻害薬共に影響しなかった。以上より、Rho-kinaseとRacはアストロサイトにおいてTGF-βによるIL-6の遊離を抑制的に制御していること、その作用点はSmad経路とは独立あるいはSmad2よりも下流であることが示唆された。 Rho-kinaseとRacは中枢神経保護戦略を考える上で重要な標的となり得ると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記内容でNeuroscienceに投稿。reviseの回答を得、現在追加実験中である。
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Strategy for Future Research Activity |
追加実験として、TGF-βがIL-6以外のサイトカインをC8D1A細胞から遊離促進するかどうか、また、TGF-βによるIκB/NFκB経路の活性化にRho-kinaseとRacが関与しているかどうかを検討する。
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Causes of Carryover |
ほぼ予定通りに進んでおり、次年度使用額はわずかである。
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