2017 Fiscal Year Research-status Report
虚血後治療としての吸入麻酔薬が永久中大脳動脈閉塞ラットの神経学的予後に与える影響
Project/Area Number |
17K11051
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
谷西 秀紀 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (40509428)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 求 岡山大学, 大学病院, 講師 (00457219)
佐々木 俊弘 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (40509436) [Withdrawn]
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 永久中大脳動脈閉塞 / Postconditioning / 吸入麻酔薬 / イソフルラン / 神経学的スコアリング |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は永久中大脳動脈閉塞(pMCAO)モデルの確立と、吸入麻酔薬のPostconditioningとしての投与が短期神経学的予後に与える影響について研究を行った。 1)pMCAOモデルの確立 当初Intraluminal群とCraniotomy群で虚血後神経学的スコアの信頼性を比較する予定であったが、Craniotomy群では48ポイントスケールを用いた神経学的スコアリングのうちFace touchとVibrissae touchの2項目がうまく実施できないことからIntraluminalモデルを採用することとした。虚血までに吸入麻酔薬を用いない全身麻酔法(メデトミジン、ブトルファノール、ミダゾラム)の確立、体温測定と虚血前後の体温維持方法の確立に主眼を置き、最終的にモデルを確立できた。 2)吸入麻酔薬のPostconditioningとしての投与が短期神経学的予後に与える影響 雄性成年Wistarラット(8-10週齢)に上記pMCAOモデルを負荷し、虚血開始後にイソフルラン投与を行い、虚血開始7日後の神経学的予後を測定した。パイロットスタディ―の結果、群分けは①虚血開始15分後から1時間1MAC(1.5%)のイソフルラン投与、②虚血開始2時間後から1MACのイソフルランを1時間投与、③虚血のみ行う(Control)とした。虚血施行者は虚血開始後に該当動物の群分けの割り振りを告知されることでブラインドを確保し、虚血7日後の神経学的評価は群分けを知らない第3者により行われることで研究データの信頼性を確保することとし、現在研究継続中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
永久中大脳動脈閉塞モデルの作成に際し、Intraluminalモデルにおける最も適切なフィラメントの選択、体温維持方法の確立、吸入麻酔薬投与のタイミングと投与時間、組織学的評価の方法など、解決しなければならない問題が多く、予想より時間を費やしてしまった。また研究分担者のうち一名が平成29年度半ばに退職となり、研究遂行のペースが落ちたことも一つの要因である。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、まずは現在行っている成年ラットを用いた永久中大脳動脈虚血後1週におけるイソフルラン投与が神経学的所見に与える影響について結果を導く。虚血開始後のイソフルラン投与が神経学的所見を改善させるのであれば、ひきつづき永久虚血における長期(28日)予後の判定、また壮年ラットにおける短期予後の判定へと進めていく予定である。イソフルラン投与が神経学的所見に与える影響がなかった場合は、イソフルラン投与のタイミングと投与時間、また虚血翌日以降の反復投与も含めいま一度の検討を必要とする。
|
Causes of Carryover |
(理由)当初、実験に必要な人工呼吸器や吸入麻酔薬の気化器、体温維持システムなどを新たに購入する予定であったが、実験台を研究分担者と常に共用できることとなり、現段階でのその必要がなくなった。また動脈確保時の血管クリップなどの高価な手術道具や血圧モニタ、閉創用の糸などの消耗品を臨床で用いなくなったものを譲ってもらえたことで、手術道具として使用予定だった費用をかなり抑えることができたことが理由としてあげられる。 (使用計画)本年度は長期予後の測定のためにロータロッドを購入する予定、また壮年ラット購入関連の費用が研究計画書の予定より多くかかると予想され、本年度に繰り越した使用額と本年度請求額とを合わせて使用する予定である。研究分担者が新たに生じた場合はもう一つ新しい実験台を設置する予定であり、そのための費用も必要となる。
|