2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K11056
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
上村 裕一 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (30211189)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森山 孝宏 鹿児島大学, 医歯学域附属病院, 講師 (20593651)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 敗血症性腎障害 / ミトコンドリア / アドレナリン受容体 / 炎症性サイトカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
敗血症性腎障害におけるアドレナリン受容体の関与について検討した。敗血症動物モデルとして、LPS投与ラットを使用し、3時間後及び6時間後において採血を実施し、終了時に腎臓を摘出した。6時間後においてコントロール群(LPS非投与群)と比較してLPS投与群では血中クレアチニン、乳酸値が上昇し敗血症性腎障害を発症していた。炎症性サイトカイン濃度を測定した所、TNF-α、IL-1β、IL-6が有意に上昇していた。摘出腎臓を免疫染色にてアドレナリン受容体の発現を測定した所、β受容体の発現量が増加していた。このことは敗血症性腎障害には炎症性反応と交感神経活動の亢進が関与していることを示唆していると考えている。またHEK293cellを用いたミトコンドリアでの酸素消費量測定においては、TNF-α添加で有意に酸素消費量が増大していた。これはTNF-αが細胞での酸素消費量増大をきたすことで酸素需要量の増大から組織内低酸素をきたすことを意味すると考えている。より高濃度のTNF-α添加ではむしろミトコンドリアでの酸素消費量は低下しており、ATP産生も低下していた。このことは高濃度TNFーαーは直接的にミトコンドリア機能不全をきたすと考えている。敗血症時の腎臓ではβ受容体の発現が増大していたため、腎障害発症においては腎血流量の減少だけで無く、β受容体を介した直接的な機序が関与していることが示唆された。動物実験と細胞実験の結果から考えるとβ受容体を介して酸素消費量を増大させている可能性が高い。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の到達目標は敗血症腎障害の発症機序を明らかとすることだった。今回炎症性反応と交感神経活動の亢進が原因であることを示すことができたので、今後研究対象を絞って行くことが可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は敗血症腎障害における原因である炎症反応と交感神経活動の亢進を抑制するような、特にβ受容体拮抗薬をはじめとする治療薬の有効性について研究を進めていく。
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Causes of Carryover |
次年度からはまだ未測定の検体について、今年度より多く測定予定である。また実験数も増える予定であるため、次年度使用額が増加している。
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