2018 Fiscal Year Research-status Report
遠隔虚血プレコンディショニングのメカニズムを利用した心停止後症候群治療戦略の検討
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17K11060
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
南嶋 しづか 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (20622088)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 武志 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (80327600)
加藤 純悟 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (40465018)
井上 敬 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (90464932)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 心停止後症候群 / 遠隔虚血プレコンディショニング |
Outline of Annual Research Achievements |
心停止後の予後は依然として不良であり、その原因は全身性の虚血再灌流障害とされる。我々は先行研究において、CPRと酸素濃度との関係について『酸素濃度と自己心拍再開率・生存率が比例関係にあり、心停止時間が長くなるほど蘇生成功に高濃度酸素吸入が必須条件である』ことを明らかにした。しかし、その一方で心肺蘇生(CPR)から自己心拍再開 後の高酸素血症が活性酸素種(ROS: reactive oxygen species)の産生を助長し、死亡率の増加や神経学的予後の悪化に関与することが明らかになりつつある。以上から、我々は活性酸素種の発生を阻害または除去することが、心停止後症候群(PCAS: post cardiac arrest syndrome)の予後改善につながるのではないかと考えた。近年、キヌレン酸が虚血再灌流障害に対して臓器保護的に働くことが様々な臓器で明らかになりつつある。そこで、我々は『キヌレン酸は心停止後症候群を改善するのではないか』との予想のもと、マウスの心停止・心肺蘇生モデルを用いて実験を行った。心肺蘇生開始1分前にキヌレン酸を投与した群とvehicle群で、CPRを要した時間やCPR開始5分後の血圧・心拍数・pH・PaO2・PaCO2・血清過酸化水素濃度を比較した。CPR時間、心拍数、pH、PaCO2に差はなかったものの、キヌレン酸を投与した群では血圧は有意に高く、キヌレン酸による心収縮力の増強が示唆された。しかし、血清過酸化水素濃度もキヌレン酸を投与した群で有意に高く、予想とは逆の結果となった。これはキヌレン酸によって血圧が上昇し、より広範囲の虚血領域に、より高い酸素分圧の血液が再灌流したことがその一因かもしれない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初の計画では、研究開始から2年以内に心肺蘇生成功後にキヌレン酸を投与する実験系について、キヌレン酸の至適投与量や投与時期などの条件を確率している予定であったが、残念ながら達成できていない。以上より、進捗状況としては遅れていると言わざるを得ない状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き心停止後症候群とキヌレン酸産生との関連について研究を進めながら、心停止後症候群改善に対するキヌレン酸投与の至適条件を検索し、鋭意研究を続けていく予定である。
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Causes of Carryover |
購入予定であった解析のための試薬などについては、実験がやや遅れているため翌年度以降に購入することになったため。
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